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香取慎吾の絵を横尾忠則が絶賛! 「今はあんまり描けてない」との悩みに与えたアドバイスとは

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「芸術新潮」(新潮社)2018年3月号

 今年3月には、香港政府観光局が行う「香港アートマンス」のプロジェクトに参加。香港島の世界で最も長いエスカレーター「ミッド・レベル・エスカレーター」の壁面に『大口龍仔』と題されたストリートアートを描くなど、画家としての仕事が遂に日本国内を飛び出し始めた香取慎吾(41)。こういったアーティストとしての活躍ぶりに、「画家に転身か?」との報道まで流れているが、香取慎吾本人は「画家なんて恐れ多くて名乗れないよ。好きだから、絵が描けたらいいだけで」(「文藝春秋」20185月号)と、その噂を完全に否定している。でも、ひょっとしたらそんな未来も「アリ」なのかもしれない。それというのも、香取の作品を世界的な美術家の横尾忠則(81)が高く評価しているからだ。

 それが明らかになったのは、「芸術新潮」(新潮社)20183月号に掲載された、香取慎吾と横尾忠則の対談でのこと。このなかで香取の作品(スタジオに届く弁当が入っていた段ボールを画材にして即興的につくったもの)を見た横尾は「普通のアーティストなら、生活と創造の一体化を図ろうと、まず頭で考えてしまうんだけど、香取さんは体が先に動いて、作ってしまってる。こんなに無秩序で暴力的で、この狂気はどこからくるんだろう? やっぱり香取さんが今まで体で表現をしてこられたことが、この絵にも表れているんでしょうね」と絶賛する。

 横尾が香取の絵を評価するのは、そこに確かな「初期衝動」があり、小手先のテクニックで自らのアートを取り繕う打算がないからだ。

 ただ、アーティストとしての注目が集まるようになるにつれ、そういった香取の良いところがいま失われようとしているようだ。対談のなかで香取は「最近はアートにまつわる仕事を頂いたりするんですが、実際、今はあんまり描けてないんですよね」と悩みを吐露。その原因をこのように語っている。

「段ボールのほかにカンヴァスに描くこともあるんですが、もうちょっと高いカンヴァスを使ったほうが重厚感が増しますよ、とか、僕の絵具の使い方だと10年後には剥がれ落ちちゃうらしくて、こうしたほうがいいとか、アドヴァイスをいただく機会も増えていて……。それで、好きで買ったカンヴァスが使いにくくなったり、今までだったらその辺にある絵具で描いていたのに、その絵具にひと手間加えなきゃと思うと、バッという勢いが出ないんですよね」

 もちろん、作品をより良いものにしていくために、他の人の意見は重要だ。ただ、それによって作品の最も良い部分が失われてしまったら元も子もない。

 そんな香取に対して、横尾は「人の意見もほどほどでいいんです」「聞くなら自分の肉体の内なる声を聞くのが間違いないですよ」とアドバイスしつつ、芸術家にとって本当に大事なものなのは「子ども性」なのだと語る。横尾は「自分の中の子どもの部分が一番大事。子ども性(アンファンテリズム)は一生手放しちゃいけないものだと思いますね。それがある限りは描けます」と、香取に対して「子ども性」なる概念を説明したうえで、「ピーター・パンでいること」を強く勧める。

「アートの世界って子ども性が一番大事で、物わかりのいい人間になったらアウト。目的も結果もなく、今やりたいことをやればいい。それに対して、周辺でああだこうだ言う人がいたらそれは全部、物わかりのいい「大人」なんです。でも、子どもなんだから聞いちゃダメなんです。いつまでも大人になりたくない、ピーター・パンでいることですね」

 この「子ども性」という考えを提唱するのは横尾忠則だけではない。「美術手帖」(美術出版社)20172月号で、「創作あーちすと」との肩書きで芸術家としての活動も行うのん(24)と、世界的にも評価の高い画家の奈良美智(58)が対談しているのだが、そのなかで奈良美智はのんに対して「子ども」の視点が芸術家にとっていかに重要であるかを指摘している。

「たいていの人は18歳から美大に行って、専門的に勉強を始めた後の知識で絵をつくろうとするよね。でも、その前の18年間が大切なんだよ、きっと。だから保育園や10代の頃の自分に戻ることができたら、忘れかけていた18年という宝物みたいな時間を自分の創作の源にできる」

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