ナギ「『子どもは全員、お母さんを選んで生まれてきている』と言われていることを主治医に相談したとき、『そんなわけない』『それはもうスピリチュアルというより宗教』と一蹴されたのも、救われた気持ちでしたね。人それぞれの使命があるというのはカトリックの根本なので否定しませんが、それを生まれる前に決めていたというのは、さすがに飛躍しすぎでしょう(笑)。それに本当の愛だったら無償なはずなので、友人がセラピストの講座に大金をつぎ込んだような、金銭はからみませんよね」
「今の自分を超える!」「問題解決の糸口になる」「幸せな親子関係を築く」「今よりもっとイキイキと人生が輝く」etc……。キラキラしたスピトークをまといながら、素人が安易にほどこす「セラピー」とは、ナギさんが体験したようなお粗末なものでした。
元凶は、誰か。
巷のなんちゃってセラピストの中に、人を救うどころか奈落へ追い込んでいるという自覚を持つ人はどれだけいるのでしょうか。そして、無責任にそういった人たちを量産する〈布教者〉が元凶であり戦犯であることは、ナギさんの体験にも表れています。ふんわりやさしげなスピトークを発信する魔物にうっかり近づいてしまったら、A.T.フィールド全開で心の武装を。素人のあおる〈自分の本音〉やら〈心の傷〉からは、いったん全力で逃げてしまいましょう。
先週のこどもの日には、総務省が恒例の〈日本の子どもに関する統計データ〉を発表。それによると、今年4月1日時点の日本における子ども(15歳未満)の人口が、37年連続で減少しているということがわかりました。これを〈子どもは希少価値〉ととらえ、そこから〈今の世で、子どもが自分を選んでくれた奇跡!〉という胎内記憶ファンタジーが盛り上がるような気がしたのは、私がトンデモに毒されているせいなのか。今回話をしてくれたナギさんのような被害者が増えないことを祈りつつ、次回はこういった物件が及ぼす問題点について、医師の見解をご紹介していきましょう。