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在日外国人への誹謗中傷が内閣府広報室、自治体HPに「意見」として掲載されることの問題

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国政モニターウェブサイトより

 4月末、「国政モニター」サイト上にヘイトスピーチを含む誹謗中傷や差別的書き込みが投稿され、掲載されていることを問題視する声が上がった。そして現在、長野県の「県民ホットライン」サイトでも似たような事態が指摘されている。

 まず「国政モニター」とは何か。これは、公募で選出されたモニターが国に対する意見や要望を投稿する制度で、モニターとして選ばれると月に3回まで意見の提出をすることができた。内閣府大臣官房政府広報室が運営しており、2012年度から2016年度まではインターネット上でモニター公募・投稿・公開というスタイルを取っていた。

 2017年度以降この制度は休止となったものの、過去の投稿は閲覧可能な状態だった。しかしサイト内には在日コリアンや特定の人物に対する誹謗中傷が相当数確認でき、先月末にあるブログが「なぜヘイトスピーチや個人への誹謗中傷を国民の意見・要望として公開しているのか」問題提起。そのブログでは内閣府大臣官房政府広報室サイト内で国政モニター制度の留意事項として「立法・司法・政治関係のご意見や、誹謗中傷、差別的な内容、その他国政モニターウェブサイトに掲載することが不適切であると判断されるご意見等については、ご提出いただいても公表いたしませんので、あらかじめご了承願います」と説明されているにもかかわらずヘイトスピーチや誹謗中傷が放置されていることに疑義が呈された。

 TwitterなどSNSを通じてこの情報が広まると、内閣府は52日に「国政モニター」サイトの公開を突然中止。内閣府政府広報室の担当者は、モニターが投稿した意見をすべて確認し、民族差別的な記述があっても不適切ではないと判断したうえで掲載していたのだろうか。それとも、確認を怠り、不適切な記述があることに気づかずに掲載していたのか。チェック体制の検証が望まれる。

 さて、冒頭に記したとおり、ヘイトスピーチや誹謗中傷を含んだ一般市民の「意見」が、長野県の「県民ホットライン」サイトでも公開されていることが明らかになった。これは長野県の自治体としての公式webサイトから、県民が意見・質問を投稿できるサービス。2012年から始まったもので、現在も継続している。意見や質問がある場合は、応募フォームに名前や住所、電話番号などの個人情報を入力し、件名と内容を記述して送信する。担当部署は長野県庁企画振興部広報県民課だ。

 どのような「意見」があったかというと、たとえば201612月受付の「平昌オリンピックへの協力絶対反対について」というタイトルのメールには、<韓国とはどういう国かご存知ですか?><日韓基本条約の破棄・慰安婦問題日韓合意違反・在韓日本大使館前の慰安婦増撤去しない。ただ今世界中で慰安婦捏造で日本を貶めている><靖国神社に無差別爆弾テロを仕掛けた><韓国人朝鮮人その子孫の犯罪率最悪>といった民族差別に満ちた記述が延々続き、タイトル通り平昌五輪に協力すべきでないと訴えるものだった。この「意見」に対して長野県県民文化部が回答しており、<まずは、貴重なご意見をいただき、様々なお考え・ご意見がある旨、改めて認識させていただきましたことに、感謝申し上げます>と始め、日韓両国の信頼関係構築を目指すと説き、<今後とも、世界における長野県というグローバルな視点で、地方から発信する国際交流を一層推進してまいりますので、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます>と締めている。また、在日外国人への生活保護支給などを停止するよう訴え、在日外国人を<ならず者><寄生虫>と表現する異常な内容のメール(20173月受付)と、それに対する回答の掲載などもあった。

 ともすれば同一人物の投稿かもしれないと思えるような内容ではあるが、その他にもいくつかの「意見」(メール)が同様の調子で掲載されていた。「県民ホットライン」サイトのトップには「いただきましたご意見等は、原則、知事が拝見します(※)」「()以下のご意見等は除きます。 ・県政に直接関係のないもの ・営利目的のもの ・確認が困難なもの、内容が不明確なもの ・特定個人や団体などに対する誹謗中傷、個人間の争いに関するもの」とある。上記の意見は「内容が不明確なもの」「特定個人や団体などに対する誹謗中傷」には該当しないのだろうか。

 これらの「意見」は紛うことなき民族差別であり偏見に満ちたものであるが、一方でこうした「意見」の持ち主もまた市民であり、自治体の窓口としては蔑ろにするわけにいかないという事情もあろう。上記いずれの「回答」も、事務的に淡々と質問に答える形をとってはいた。こうした「意見」への「回答」を担当する自治体職員も相当しんどそうだと筆者は想像した。ただ、これらの「意見」を、批判的な目線のないままの状態で、その他の意見や質問と同列の扱いでwebサイト上に公開しておくことは、やはり問題があっただろう。

 2016年に施行された「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(略:ヘイトスピーチ対策法)」では、ヘイトスピーチの解消に向けての取り組みは国と地方公共団体の責務であると定められており、長野県は現在対応を検討しているという。

 また、国連の人種差別撤廃条約に、日本は1995年に加入している。内閣府政府広報室の運営する「国政モニター」に前述のようなレイシズム満載の“意見”が、不適切では無いと判断され掲載されていたことは、日本政府の条約違反にあたらないのだろうか。こうした場所に掲載した以上、「あくまでもいち個人の意見であり思想の自由」などといった言い訳では済まされない。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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