連載

お弁当や作り置き料理を安全に美味しく食べるための段階別工夫

【この記事のキーワード】
お弁当や作り置き料理を安全に美味しく食べるための段階別工夫の画像1

Thinkstock/Photo by maroke

※この記事はメタモル出版ウェブサイトに掲載されていた成田祟信さんの連載「管理栄養士パパのみんなの食と健康の話」を再掲載したものです

 みなさんは、お弁当や作り置きの料理を出したとき、クンクンと臭いを嗅いだりしないでしょうか? 美味しく食べられるかどうかを確認するためならよいのですが、じつは臭いや見た目の変化を観察しても安全かどうかはわかりません。

 酸っぱい臭いやネバネバが出るのは、腐敗菌と呼ばれる雑菌が繁殖した場合です。黄色ブドウ球菌やサルモネラなど多くの食中毒細菌は、食べものの中で増殖していても基本的には味や臭い、見た目では判別できません。ですから、安全にお弁当をつくるためには、腐敗菌はもちろん、見た目では分からない食中毒細菌をつけない、増やさない対策が必要です。

 特に気温と湿度の高くなる今の季節、常温で保管することの多いお弁当箱の中は食中毒細菌にとって、繁殖しやすい条件が整った環境になります。そこで、お弁当や作り置き料理を安全に美味しく食べるための工夫を段階別に紹介したいと思います。

1【準備のポイント】

 お弁当や作り置き料理に使う食材は、水分があまり多くないものを選ぶといいでしょう。そのままお弁当に入れる加工食品は、濃い味つけのもので、殺菌済みで密封されたものを選んでください。そして購入した生鮮食品は、なるべく早く冷蔵庫などにしまいましょう。常温で長く放置すると、調理する前に悪くなってしまいます。

 野菜など加熱しないで食べる食材は、肉や魚に触れないように気をつけましょう。肉や魚の表面には危険な食中毒細菌が付着しています。最近増えている鶏肉によるカンピロバクター食中毒ですが、市販の鶏肉の4割ほどが汚染されているという調査結果があります。

2【調理のポイント】

 まず、手を石鹸でしっかり洗浄します。黄色ブドウ球菌は手の傷や鼻の粘膜などに棲んでいるため、手に傷があるときには手袋をはめて調理してください。マスクをして調理するとより安全です。黄色ブドウ球菌が増殖すると食品の中で熱に強い毒素を作りますので、食べる直前に加熱しても防げません。菌をつけないことが大切です。

 それから、意外と見落としがちなのが、手を拭くタオルの汚れ。タオルが汚染されていると手まで汚染されてしまいます。心配な場合はペーパータオルを使うのもいいでしょう。

 野菜はしっかり洗浄し、必要に応じて殺菌しましょう。特に野菜を生のまま入れる場合は、汚れを落とした後に流水で何度もすすぐといいでしょう。お店に並んでいる野菜は見た目こそきれいですが、食中毒細菌に汚染されていることがあります。トマトはヘタの部分が汚染されやすいので、ヘタを取り除いて洗浄しましょう。肉や魚を扱うときには、まな板やお箸などの調理器具を分けるようにしてくださいね。

 加熱する食品は、中心までしっかり火を通すようにします。少しでも食中毒細菌が生き残っている場合、保存しているあいだに爆発的に増殖してしまう可能性があるからです。いない菌は増えませんから、調理の段階で死滅させることが大切です。また、加熱によって水分を飛ばせば、細菌が繁殖しにくくなることも期待できます。揚げものは中心まで殺菌でき、水分も少ないのでお弁当向きです。

3【保存のポイント】

 出来上がった料理は、なるべく早く冷やしましょう。食材の温度が20℃から体温くらいのときに細菌はよく増えます。お弁当や作り置きをする場合には、できた料理は鍋のまま氷水につけたり、別の小さな器に取り分けたりして、すぐに冷ますようにしてください。ある程度冷めたら、菌が混入しないようきちんとラップやフタをして冷蔵庫に入れておきましょう。つまり、中心までしっかり加熱した料理を急速冷却し、ラップやフタをして保存することが大切なのです。

 翌日のお弁当に入れる場合は、夕食の残りものではなく、あらかじめ取り分けて冷蔵庫にしまっておいたぶんを使うようにしてください。

【お弁当箱につめるときのポイント】

 ご飯を入れるときには、手が触れないように気をつけましょう。おにぎりは手袋をして握ってください。水気のある料理は汁を十分に切りましょう。汁が流れてご飯がふやけると細菌の繁殖しやすくなります。水が出そうな料理はホイルに入れたり、ご飯とおかずが分かれている弁当箱につめたりするのもいいでしょう。

 冷凍食品は、茹でているように見える冷凍野菜や調理済みに見える惣菜でも、加熱調理が必要なものもありますので必ず包装を見て確かめてください。自然解凍で食べられるお弁当用の冷凍食品も増えていますので、忙しいときには活用するのもありです。

 そして、保冷剤を使いましょう。ある程度冷ましてから詰めたお弁当であれば、フタの上に保冷剤を置くことで、細菌が繁殖しにくくなります。お弁当を食べるときに保冷剤が完全に暖まっている場合には、少し大きいものを選ぶとよさそうです。

 最後に、意外と知られていないことですが、家庭のキッチンは工場などに比べて衛生的ではないことを忘れないようにしましょう。上記のポイントを守れば食中毒のリスクは大きく減らせますが、無菌状態ではないのでなるべく早めに食べてくださいね。

お弁当や作り置き料理を安全に美味しく食べるための段階別工夫の画像2

成田祟信『新装版 管理栄養士パパの親子の食育BOOK』(内外出版社)

成田崇信

管理栄養士、健康科学修士。病院、短期大学などを経て、現在は社会福祉法人に勤務。ペンネーム・道良寧子(みちよしねこ)名義で、主にインターネット上で「食と健康」に関する啓もう活動を行っている。猫派。著書:新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK (内外出版社)、共著:謎解き超科学(彩図社)、監修:すごいぞやさいーズ(オレンジページ)

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。