2018年5月6日に幕張メッセ国際展示場で開催された、乃木坂46の20thシングル「シンクロニシティ」発売記念握手会をもって、結成当初から主力メンバーとして活躍してきた生駒里奈(22)が、グループを卒業した。乃木坂46の握手会史上最多となる3万5000人ものファンが集まり、感動のラストを迎えたが、一方で4月22日に日本武道館で行われた『乃木坂46生駒里奈卒業コンサート』については、少々厳しい声も上がっているようだ。
乃木坂46といえば、押しも押されもせぬ人気No.1女性アイドルグループ。2017年11月には東京ドーム公演2デイズを成功させ、合計10万人を動員している。そして生駒里奈といえば、2012年の同グループデビューから5作連続でセンターを任されてきた重要人物であり、一般層に対する知名度も抜群だ。そんな生駒里奈の卒業コンサートが、せいぜい1万2000人規模の日本武道館で開催されるということに、多くの音楽関係者、ファンが疑問を持ったことだろう。ちなみに2017年2月に行われた橋本奈々未の卒業コンサートはさいたまスーパーアリーナで開催されており、3万5000人を動員した。
最近の生駒里奈は決して人気上位メンバーというわけではなかったかもしれない。しかし、デビュー当時に乃木坂46というグループの顔となり、その知名度を高めたのは間違いなく生駒里奈であり、その貢献度の高さはファンならずとも周知の事実。にもかかわらず、橋本奈々未の半分以下のキャパシティーでの卒業コンサートというのだから、これに疑問を感じたファンがいてもいたしかたなかろう。
実際に生駒里奈の卒業コンサートを現場で観覧したというマスコミ関係者はこう語る。
「映像や照明による演出や、アニメの“ナルト”や両親からのコメントといったサプライズなど見どころもたくさんありはしましたが、肝心の歌とダンスについては、かなりひどいものでした。リハーサルが足りなかったのか、立ち位置がわからずウロウロしているメンバーもいましたよ」
そもそも生駒里奈が乃木坂46を卒業すると決意したのは、もっとダンスや演技のスキルを磨き、レベルの高いエンターテイナーになりたいと思ったからだという。そういう志を持つ生駒里奈にとっては、卒業コンサートでの乃木坂46のパフォーマンスは、まさに「ここにいてはダメだ」と思わせるに十分なものだったかもしれない。“最高の卒業コンサート”ではなかったという事実が、逆に生駒里奈の卒業の正当性を高めるというのも、なんとも皮肉なことである。
また前出のマスコミ関係者は、「ステージ上にセットがなく、あまりにシンプルな作りだったのも気になった」とも語る。人数が多いグループゆえにどうしてもステージをできるだけ大きく使う必要があるため、セットが少ないのもいたしかたないのかもしれないが、“それにしてもあまりにお金をかけなさすぎでは”という印象を持った観客も少なくないことは、コンサートを観賞したファンの声からも明らかだ。
先述の通り、デビュー当時は“初代センター”としてグループを牽引していた生駒里奈だが、その一方で一部のファンのなかには、その状況を「ゴリ押しだ」としてバッシングをする向きもあった。しかし、そんな生駒里奈が先頭に立ってメディアに取り上げられたからこそ、乃木坂46が世間に広まっていったのは紛れもない事実。いわば、生駒里奈こそ乃木坂46のブレイクにおける最大の功労者なのである。にもかかわらず、その卒業コンサートが観客に“あまりにお金がかかっていない”と思わせるようなものだったとすれば、それはあまりにも寂しい話ではなかろうか。功労者として彼女を称える気持ちが運営の側にあるのであれば、もう少しお金をかけてもよかったのではないか……そんな声が聞こえてくるのもむべなるかな、というわけなのである。
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