ポルノ女優との不倫スキャンダルもみ消しに、妻メラニアを使うトランプ

文=堂本かおる
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 第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプが、不倫スキャンダルに見舞われている。トランプの生涯でいったい何度目であろうか。今回の相手はポルノ女優であり、かつ女優に13万ドル(約1,400万円)の口止め料を支払ったことが、連日大きく報道されている。

 5月6日の『サタデーナイトライブ』のオープニング・コントはトランプと取り巻き陣を揶揄するものだった。トランプ、口止め料を支払った弁護士、元NY市長のジュリアーニ、トランプの元主治医、ホワイトハウス報道官、FBI捜査官、娘のイヴァンカと夫のクシュナーなどをコメディアンや俳優が演じ、スキャンダルもみ消しに右往左往するホワイトハウスの混沌振りを傑作ジョークに仕上げてあった。さらには不倫相手のポルノ女優ストーミー・ダニエルズ、これは本人が登場して視聴者をあっと驚かせた。

 俳優のアレック・ボールドウィン演じるトランプは、まさに“エロおやじ”のキャラクターに仕立ててあった。大統領としての政治生命がかかっているにもかかわらず、電話の向こうのポルノ女優に「今、何を着てるの?」などと聞くのだ。このどうしようもない大統領にストーミーは「辞職」を勧告し、かつ予言をするのである。

「あなたが地球温暖化を信じてないのは知ってるけれど、ストーム(嵐)が近づいてるわよ、ベイビー」

 ちなみにこうした政治パロディは、アメリカ暮らしの楽しみのひとつである。

トランプのスキャンダルで手一杯のホワイトハウス

 ストーミー・ダニエルズ(本名:ステファニー・クリフォード)は2002年よりアダルト映画に出演し始め、AVN (Adult Video News)アワードの最優秀新人賞を受賞。以後、多数のアダルト作品に出演してポルノ界のスターとなり、かつアダルト作品の監督も手掛けている。これまでに女優/監督として各種アダルト映画アワード20回以上の受賞歴を誇り、アダルト・アワードの殿堂入りも果たしている。また、2010年には地元ルイジアナ州より上院議員としての出馬を検討するも、これは諸般の事情により断念している。

 今年1月、ウォール・ストリート・ジャーナルがストーミーとトランプの不倫と口止め料について報じた。トランプは不倫自体を現在に至るまで否定しているが、ストーミーは2006年にトランプと一度だけセックスをしたと認めている。不倫の時期は、トランプの妻でファーストレディのメラニアが息子のバロンを出産した4カ月後に当たる。

 その10年後、大統領選を目前に控えた2016年10月に、トランプの個人弁護士コーエンが、ストーミーに不倫を口外しないよう13万ドルの口止め料を支払ったとされている。

 トランプは口止め料の支払いについてももちろん否定しているが、コーエン弁護士は口止め料を自己資産から建て替えて支払ったとしている。口止め料がトランプの選挙資金から捻出されていれば、トランプが選挙法違反に問われるためだ。しかし、弁護士が依頼人(トランプ)に融資をすることも違法である。コーエン弁護士は、すでにFBIに事務所と自宅を家宅捜査されており、窮地に立たされている。

 コーエン弁護士に替わってトランプの個人弁護士団に加わったのが、かつてはニューヨーク市長であったジュリアーニ弁護士だ。このジュリアーニが先週、テレビのニュース番組に出演し、爆弾発言をおこなった。「コーエン弁護士が立て替えた口止め料を、トランプはすでに返済している」と。つまり、ストーミーとの不倫を認めたことになってしまったのだ。

 ジュリアーニ弁護士の発言内容を、トランプもホワイトハウス報道官も事前には知らされていなかった。定例記者会見で質問攻めとなった報道官はしどろもどろになり、トランプ本人は「ジュリアーニは私の個人弁護士としての仕事を“昨日”始めたばかりで、詳細をまだ知らないのだ」と言い繕った。実際にはジュリアーニ弁護士がトランプの弁護団に加わってから2週間ほどが経過していたのだが。数日後、「トランプがジュリアーニ弁護士のテレビ出演を禁ずる可能性」というニュースが流れた。肝心の政策をよそに、トランプのホワイトハウスは常にスキャンダルで手一杯なのである。

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