社会

ポルノ女優との不倫スキャンダルもみ消しに、妻メラニアを使うトランプ

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40年に及ぶセクシャル・ハラスメント歴

 不倫問題だけではない。トランプは大統領選中からセクシャル・ハラスメント嫌疑がさんざん報じられ、問題視されてきた人物でもある。昨年末の段階で19人の女性がトランプからセクシャル・ハラスメントを受けたと声を上げている。早いものは1980年代に為されている。

 トランプはいずれの件も否定しているが、当人たちは「母の日のブランチ・イベントに子供、夫、夫の両親とともに出席したらトランプに身体を触られた」「飛行機に乗ったらファーストクラスへの席替えを伝えられ、移動してみると隣に座っていたトランプに触られた」「パーティに招かれ、トランプにビキニに着替えさせられたのち、触られた」などと主張している。さらにトランプは自身が主催するミス・ユニバース、ミス・ティーン・USAの出場者たちが着替え中の控え室に断りなしに入ることが恒例だったことも明らかになっており、いずれもモラルの欠落を示している。

 大統領選中にもっとも非難されたのは、『ハリウッド・アクセス・テープ』の件だった。2005年に芸能番組『ハリウッド・アクセス』に出演し、ロケ地へ向かう専用バスの中で司会者との会話を録音したテープが流出したのだった。

「美人には自動的に惹かれてしまう。キスから始めるんだ。磁石みたいなもんだ。キスだよ。オレは待つ必要もない。女たちは、スターにはさせるから。スターはなんでも出来るんだよ。プッシー(女性器)を鷲掴みにするんだ。なんでも出来るんだよ」

 こうした自慢の一方で、その場にいなかった女性の共同司会者へのアプローチ失敗談も口にしている。

「彼女に迫ったが、失敗した。認めるよ。彼女をファックしようとしたが、既婚者だった」

 この会話は隠し撮りではない。番組中で使う予定で、トランプ本人も了承の上でマイクを付けていたのだ。

 2006年に娘のイヴァンカとともに女性向けのトーク番組に出演した際には、イヴァンカを隣に座らせ、4人の女性司会者に囲まれた中で、こう言い放っている。

「イヴァンカが娘でなかったら、デートしているところだ」

 こうした欲望に基づくセクシャル・ハラスメントのみならず、自分への脅威となる女性には相手が「女」であることを材料とした攻撃を仕掛ける。

 例えば、大統領選中のディベートで厳しい質問を浴びせた女性ジャーナリストを「生理中だから機嫌が悪い」と言い、女性の対立候補には「あの顔を見ろよ、大統領の顔じゃない」と揶揄。民主党対立候補だったヒラリー・クリントンの外観への罵詈雑言も常識や品格のないものだった。

 相手が政敵であろうが、不倫相手であろうが、はたまた10代の子供であろうが、財産と社会的地位の後ろ盾から何をしても安泰と思い込んでいるのである。

名誉挽回に、妻をも利用する大統領

 5月7日、メラニア・トランプがファーストレディとしての公式キャンペーン「Be Best」の発表をおこなった。「Be Best」には3つの目的があり、「子供の健全育成」「健全なSNS」、現在アメリカで大きな問題となっている「子供のオピオイド中毒阻止」だ。かつてメラニアは「ネットでのいじめ防止」を口にし、「それをやっているのは貴女の夫だ」と批判されたことから、今回は「いじめ」という言葉を避け、「健全なSNS」への言い換えをおこなったものと思われる。

 いずれにせよ、先代ミシェル・オバマによる子供の健康促進活動「Let’s Move」など、歴代のファーストレディは各々が政治とは無関係の文化的、社会的な活動をおこなってきた。だがメラニアは表に出ることを望まず、これまではこうした活動を控えてきた。ところが、ここに来ていきなりの「Be Best」開始宣言は、どこか不自然に感じられる。

先週のタイムライン

5/2:ジュリアーニ弁護士がトランプの不倫を認める発言
5/5:トランプ「ジュリアーニは詳細を知らない」と釈明
5/5: 『サタデーナイトライブ』コント放映。メラニア役のコメディアンのセリフ「夫の罪を証言したい」
5/6:「トランプとメラニアは全く異なるスケジュールで暮らしており、寝室も別」の報道
5/7: メラニアの「Be Best」発表記者会見

 トランプの大統領就任以降、公の場でトランプが手をつなごうとするとメラニアが鋭く振り払う瞬間がなんども報道されている。6日の報道を見るまでもなく、夫婦仲が良くないことは周知の事実だ。だが、「Be Best」発表の場にはトランプも出席し、メラニアのスピーチ後に壇上に上がり、メラニアを抱擁して頰へのキスを3度も繰り返した。ファーストレディとして社会に貢献する妻を敬意とともに愛する大統領の役を「演じて」いるようにしか見えない。

 そもそも「Be Best」の内容はオバマ政権時代にすでに作られ、発表済みのもののコピーであることが、記者会見の翌日に報道されてしまっている。さらに「Be Best」というタイトルも英文法的に間違ってはいるものの(*)、ミシェル・オバマが使ったフレーズ「Be Better」の真似であるとも指摘されている。つまり、トランプの不倫+口止め料問題から国民の目を逸らすための茶番だと思われるが、それにしてもなんというお粗末さだろうか。

 メラニアの心境は知る由もないが、ドナルド・トランプは不倫、および口止め料問題をごまかすために、こうして妻をも利用する男なのである。

(*)正しくは「Be The Best」と “The” が必要であり、「(言葉として)不自然」「子供に見せたくない」といったコメントが出ている
(堂本かおる)

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