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SHOWROOMの前田裕二社長とはいかなる人物か? 石原さとみとの沖縄旅行をスクープされたIT社長の苦難に満ちた半生

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前田裕二『人生の勝算』(幻冬舎)

前田裕二『人生の勝算』(幻冬舎)

 今週発売の「週刊文春」(文藝春秋)2018517日号で石原さとみ(31)との沖縄旅行をスクープされ、一躍注目を浴びることとなったSHOWROOM代表取締役社長の前田裕二(30)。「週刊文春」の記事では「“意識高い系”カリスマIT社長」とのキャッチコピーで紹介されていたが、いったいいかなる人物なのか?

SHOWROOM」というのは、ウェブ上で展開されているライブストリーミングサービスのサイト。AKB48グループや坂道シリーズのメンバーが配信していることでよく知られているが、配信自体は誰でも行うことができ、日夜多くの人が配信を行っている。

 このサイトの特徴は、配信を見ている視聴者とリアルタイムで双方向のコミュニケーションができること。コメントを投稿して配信者と会話することもできるし、ギフティングアイテム(課金するものもあれば無課金のものもあり色々な種類がある)を投げることによって視聴者が配信を応援することもできる。

 NGT48のデビューシングル「青春時計」のセンターを務め、現在は月〜金の帯番組『青春高校3C組』(テレビ東京)でサブMCも務める中井りか(20)は、グループ結成当初そこまで注目されるメンバーではなかったが、SHOWROOM配信でのファンとのやり取りの面白さで人気に火がついた。同じようにSHOWROOMがきっかけで人気を得たタイプとしては、毎日朝の530分に配信することを自らに課し「朝530分の女」というあだ名までついたAKB48チーム8の大西桃香(20)などがいる。

 このように成功例として有名なのはアイドルグループのメンバーだが、配信者はアイドルに限らず、ミュージシャンやお笑い芸人やライターなどもいて、多種多様なタレントやクリエイターが配信をしている。

 今回、石原さとみとの熱愛を伝えられた前田裕二社長は、このSHOWROOMの設立者である。そもそも彼はなぜそのようなサイトを始めようと思ったのか。昨年6月に出版された彼の自叙伝『人生の勝算』(幻冬舎)には、SHOWROOMのアイデアの源泉には、まるでドラマのような彼の半生があると綴られている。

 ホスト風のヘアスタイルで、秋元康(60)からは「外見は乃木坂のスカウトマンみたい」とも言われたという前田社長だが、そのようなルックスからは想像できない苦労を重ねてきたという。

 彼は8歳のときに母と死別し(父は物心ついた頃からいなかったと綴られている)、それからは親戚の家に預けられた。そのような生い立ちから、〈お金を持って、自由になりたいと、強く思うようになりました〉(『人生の勝算』より。以下すべて同じ)との考えをもった少年時代の前田社長。しかし、まだ小学生なのでアルバイトなどはできない。そこで考えついたのが、アコースティックギター片手に路上で歌って投げ銭をもらうことだった。

 このストリートミュージシャンの経験がSHOWROOMの発想に強く影響を与えていると前田社長は語る。道行く通行人の足を止めるために試みた工夫は同書でたくさん挙げられているが、そのなかで中心になっていたのは、お客さんとの間で「コミュニティ」をつくりだすことだった。

 その例として書かれているのが、「時間差でリクエストに応えること」。たとえば、松田聖子の『白いパラソル』をリクエストされたら、無理してその場でリクエストに応えようとはせず、「知らないので今日は歌えません」と正直に言う。しかし、これでは終わらせずに、必ず「今日は歌えないのですが、来週の水曜日の同じ時間に、もう一度この場所に来てもらっても良いですか?」と次回の約束をとりつける。そして、それまでにきちんと練習して、今度はお客さんのリクエストに応える。そうすることによって、歌自体は単なるカヴァーだが、そのお客さんと演者の間には「一週間かけて練習してきた」という別のストーリーが生まれ、その関係性ゆえに松田聖子本人が歌う『白いパラソル』とはまた違った価値が生まれるのだ。

 このように、クリエイターがつくりだした作品自体とはまた別に、「クリエイターと受け手の関係性」も価値を生み出すという考え方は、コメントやギフティングアイテムを通じて配信者と視聴者の相互コミュニケーションを重んじるSHOWROOMというサービスの根っこにある。

 そして前田社長は、外資系のUBS証券に入社。先ほど述べたような不幸な生い立ちゆえに〈自らコントロールできない外部の問題によって、挑戦が阻害されたり、個人の能力に差が出ることが悔しい〉〈強い魂を持って何かに没入すれば、その差は撥ね除けられる。むしろ、逆境が人をより高みに導くという価値観を強く持ち、自分の人生でもってそれを証明してみせたいと思いました〉という前田社長は狂ったように仕事に打ち込み、前日どんなに遅くまで働いていようと、朝の430分〜5時までには出社し、オフィスで仕事や勉強をする生活を送った。始発が走る時間よりも前なので自転車通勤で会社まで向かっていたが、ある日自転車のサドルを盗まれ、仕方なく立ち漕ぎで自転車を走らせたところ5分早く通勤できたため、それ以降サドルなしの自転車に乗っていたという逸話まで『人生の勝算』には綴られている。

 そういった努力を認められ、ニューヨークのアメリカ本社に転勤。そこでも彼は、同僚に「Yujiはクレージーだ」と言われるほど働きに働いて、抜群の成績をおさめるが、そこで届いた親戚の訃報が人生を変える。ギターを譲ってくれた恩人であり、大学時代は一緒にバンドをやっていたほど近い関係にあった親戚の突然の死に直面し、彼の人生観は大きく変わる。〈早く金を稼ぎたい、誰が見ても成功していると思うキャリアを歩みたい〉との考えは、〈いつ死ぬかわからないのだから、生きているうちに新しい価値を創出したい。僕が死んだ後も、世界の人たちに幸せや付加価値を提供し続けられる、影響を与え続けられる何かを生みだすことに、エネルギーを投じたい〉というものに変化した。

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