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小沢健二が否定した「オザケン世代」とは何だったのか

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 42353日にかけてライブツアーを行っていた小沢健二(50)が、57日更新の公式サイトで「最終日終演後すぐに書いたもの」と題した文書を発表。そこには、ツアー最終日である53日の日本武道館ライブの最中、今回ツアーに参加していた満島ひかり(32)と自身のやり取りについての真意が綴られていた。

 53日のライブでのMCで、満島ひかりが「私はオザケン世代じゃないので頑張って曲を覚えました」と自虐的に発言し、小沢健二が「オザケン世代なんて信じてません。『世代』というのは、広告代理店が勝手に作り出したもの」と返す一幕があり、これが一部のファンの間で“オザケンが満島をディスった”と噂になり、ネット上にも出回っていた。しかし、小沢の「オザケン世代なんて信じてません」発言の真意は違ったものだったため、<ライブの熱の中で言ったことが変に響いたそうなので>と自らの言葉で誤解を解くことにしたようだ。

 「最終日終演後すぐに書いたもの」には、まず<『世代は広告がねつ造するもの』みたいな話>は以前にも書いていると説明。そのうえで、次のように綴っている。

<自分のオーディエンスもよく「オザケン世代」と括られるのですが、今回のツアーで客席を見ているといろんな人がいて、「オザケン世代なんてないよなぁ、フクロウがわかるかわからないかだけだよなー」と思いながら、ツアーしていました。なので、満島さんの冗談をうけて、「オザケン世代なんて信じてません。フクロウがわかる人が僕のオーディエンスです」と、言いました>

<発言自体は本心ですが、満島さんをディスってるみたいに聞こえたという声があり、そんなつもりは全くないことをお伝えしたく、書いています。>

<満島さんとは過去半年近く、一緒に魂をけずって、長い話をし、お互いに尊敬を持って、作業をしてきました。なので、いつもどおりただ彼女の言葉をうけたのですが、変に響いていたら、すみません。>

 そして「オザケン世代」という言葉は自分も軽口で使うが、<でも、ああいう本気の場では、本気で長く考えていることが、本気で出てしまいます。ということを、ひかりさんは書かなくていいよと言っていましたが、書いておきます!(今は、ライブ終わって、すぐです。これから打ち上げ。)>とあった。小沢健二が今回綴ったことが、「オザケン世代」という呼称について彼が本気で長く考えていること、なのだ。

 実際に小沢健二のライブに訪れるファンの年齢層は決して狭いものではない。20代、30代、40代、50代と幅広い世代の音楽好きが集う場となっていることは確かだ。「オザケン世代」が具体的にどの世代を指すのか、おそらく明確な定めはないが、小沢健二が「今夜はブギーバック」などのヒット曲を立て続けに生み出しブームを起こしていた“日本のオリコンチャートなどを基準にした音楽シーンでの全盛期”は、19941996年頃だ。

 小沢健二は1968年生まれで、バンド「フリッパーズ・ギター」の一員として1989年にCDデビュー。ソロで音楽活動を開始したのはバンド解散後の1993年だ。細身、あっさりした顔立ち、清潔感があり、お坊ちゃまで東大卒、軽快なサウンド、まさに王子様そのものとして彼を崇める人々もいたし、間違いなく当時の小沢健二はスターだったといえる。ただし同時期、小室哲哉ファミリーも大ヒットを飛ばし、Mr.ChildrenDREAMS COME TRUEも爆発的に売れていた時代だったゆえ、特定の年代の音楽ファンを「オザケン世代」とは括れない。あえて言うなら、4050代前後の渋谷系カルチャーを好んでいた消費者層となるのかもしれないが、前述のように20代でも30代でも小沢健二を好きな音楽ファンはいる。音楽はそれが流行った時代を体感していなくとも、後からいくらでも楽しめるものだ。

 1998年のシングル「春にして君を想う」リリースを最後に、小沢健二は活動休止、渡米している。とはいえ小沢の楽曲はそれからもCMタイアップや、他のアーティストによるカバーも少なくなかったため、そうしたところで曲を耳にしてファンになっていった人もいるだろう。また、小沢健二は2017年にSEKAI NO OWARIとのコラボシングル「フクロウの声が聞こえる」をリリースしており、1990年代に生まれたばかりだった、あるいはまだ誕生もしていなかった世代が小沢に興味を持ち、小沢の過去のヒット曲を聴くきっかけもあったのではないか。YouTubeなどの台頭で、過去にリリースされた楽曲を聴くのはもちろん、当時のPVやライブの映像を視聴することもできるのだから、自分の誕生する前の時代や幼少期時代の音楽に親しむことは、それこそ90年代よりもずっと容易い。小沢が語るように、音楽に世代は関係ない。

 ちなみに1989年からもう30年近くの時間が経過しているが、小沢健二は相変わらず細身で不思議な透明感がある。

中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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