
記者会見での山口達也
ジャニーズ事務所所属の人気アイドルグループ・TOKOでベース担当だった山口達也(46)が、同事務所を契約解除となった5月6日より、1週間が経とうとしている。雑誌メディアによるこの問題の報道はその後もかしましいが、テレビや新聞等の“品行方正な”大手マスコミのほこ先は、5月10日に衆参両議院の予算委員会にて行われた柳瀬唯夫・元首相秘書官(現経済産業審議官)の参考人招致問題のほうに移っていることを見てみれば、大手マスコミにとって芸能ニュースというのは、やはり“些事”だということなのだろう。
そこで、そんな大手マスコミにとって「芸能ニュース」というのはどのようなポジションを占めているものなのか。今回の山口達也騒動を素材に、現役の新聞記者の声を拾いながら、その裏側を少しだけのぞいてみるとしよう。
「TOKIO 山口達也メンバー 強制わいせつ容疑で書類送検」
4月25日夕方、NHKがこのようなスクープを放つと、テレビ、新聞などの大手メディアも一斉に“後追い”に走った。
「NHKの一報が流れ、編集局内は『早く裏を取れ! こりゃ朝刊に突っ込まないとまずいだろ!』と怒声が飛び交った。記者は慌てて裏取りに走りました」(全国紙社会部若手記者)
ただし、大手メディアのなかでこのように“盛り上がった”のは、あくまでも社会部が中心。普段、芸能ニュースを担当する文化部の中堅記者は、「事件になってしまえば、前面に出るのは社会部。今回のケースでも、自分たちはしょせんフォロー役ですよ」と自嘲気味に語る。
この文化部記者が語るように、今回の“山口騒動”のような事態になると、大手メディアでは“事件モノ”を扱う社会部が前面に出て動くことになる。前出の社会部若手記者は、「今回のような強制わいせつ事件、それから覚醒剤や大麻など薬物犯罪がらみの芸能人の話題などは、基本的に一次情報は『◯◯を逮捕した』などといった形で警察サイドから出てくる。この種の一次情報が芸能事務所から出てくることは皆無で、そうなれば必然的に、文化部でなく社会部が仕切ることになりますね」と社内事情を明かす。謝罪会見の取材を文化部の記者はやることはあっても、派手に動く社会部の影にどうしても隠れがちなのだという。
さらにそのことは、大手メディア内の“社内ヒエラルキー”と、大きな相関関係にあるという。
「新聞社の記者集団の“本流”は、“政経外社”と呼ばれる政治部、経済部、外報部、社会部なんです。文化部や運動部などは社内では“傍流”という扱いをされます。社会部や経済部は、社によっては100人前後の記者を抱える大所帯ですが、文化部はたいていその半分くらいの規模。文化部に在籍する記者というのはたいてい、“政経外社”からのドロップアウト組や、出世には興味なく好きなカルチャーネタを追いかけているような記者が多く、社内においてはどうしても低く見られがちなんですよね」(全国紙経済部のベテラン記者)
さらに、そんな文化部の中にもヒエラルキーは存在する。文化部の“本流”は文芸や美術などの高尚な芸術系であって、芸能担当の記者は、その中にあってさらに一段低い扱いを受けることが少なくないという。
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