山口達也騒動を新聞メディアはどう捉えていたか~新聞における芸能ニュースの“価値”

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 また、タレントありきで記事をつくることの多い雑誌ほどではないにしろ、大手新聞社であっても芸能事務所との関係はズブズブなものになりがちだ。新聞でも特集記事などで芸能人のインタビューを扱うことが増えているほか、最近はそのメディアそのもののCMキャラクターとして芸能人を使うことも少なくないためだ。

「部数1000万を切ったもののまだまだ最も資金力がある読売新聞は、フィギュアスケート女子の本田真凜と妹で女優の望結、紗来の3姉妹(タレントとしてはいずれもオスカープロモーションに所属)を『アンバサダー』と称してCMキャラクターに採用しています。そうすると、どうしても芸能事務所との関係は密接になっていく。SMAPの分裂騒動などのゴシップや芸能界のウラ事情は、大手新聞社の文化部記者だってそれなりに知ってはいるんです。でも、関係がズブズブだから、ネタとして取り扱うことはまれになる。大手新聞の芸能記事なんて、基本はヨイショ記事ばかりで、出演作品のプロモーションがらみの通り一遍なものばかりでしょう? そうなると、山口達也の謝罪会見でもそうだったように、大手新聞社の文化部記者は、特別歯切れ良く突っ込むでもなく、テレビや雑誌の芸能リポーターにはとても勝てない、なんとも中途半端な存在になってしまうんです」(全国紙ベテラン記者)

 しかし、山口達也が起こした事件からもその一端が垣間見えたように、芸能界にはいま、契約形態の問題や性暴力の問題に関して厳しい視線が注がれており、その中には、新聞社をはじめとする大手メディアの強力な取材力をもってこそ切り込むことの可能なもあるだろう。しかし、その切っ先が、芸能界とのズブズブの関係によって鈍ることがあるとすれば、それこそ大きな問題ではなかろうか。

(文/五橋文太)

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