
本田圭佑Instagram(keisukehonda_official)より
2018FIFAワールドカップ ロシア大会を6月に控えた今、サッカー選手の思考や発言、そして行動はサッカー以外の部分でも多くの人から注目を浴びるのは当然だろう。そんな注目の的となるスター選手の一人が日本代表・本田圭佑である。
5月14日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)に登場し、「プロフェッショナルとは……………ケイスケホンダ」の名言を残した本田圭佑。本田圭佑の行動や発言はサッカー選手という枠を超えて、世界中の多くの人々の支持を得ている。
自らのことをSNS上で、「Human, Man, Educator,Social Activist ,Entrepreneur, Angel Investor , Soccer Player, Anthropologist」という本田圭佑。つまり 「人類、人間、教育者、社会活動家、起業家、エンジェル投資家、サッカー選手、人類学者」という風に名乗っているが、この順番を見てもサッカー選手という職業が自分を形成する上でもっとも重要な職業ではないことを物語っている。
本田圭佑の今現在まで、サッカー選手以外の顔としての活動、実績は以下のように、サッカーに関わることから教育の分野、投資家など世界規模で活動している。
・SOLTILO FAMILIA(サッカースクール)
・国連財閥の教育事業「グローバル・アドボケイト・フォー・ユース」に任命
・マサチューセッツ工科大学メディアラボの特別研究員に日本人として初めて就任
・カンボジアリーグのシェムリアップ・アンコールFCの経営に参入
・オーストリア・3部リーグSVホルンの経営に参入
・ウガンダ1部のブライトスターズの実質的なオーナー
・スポーツマッチングサービス「Now Do」参画(Now Do株式会社代表取締役)
日本サッカー界では、ある一定の実績を残しながらまったく異なる複業(複数の仕事をこなすという意味合いも込めて)をしている本田圭佑は、珍しい存在として受け止められがちかもしれない。
しかし、世界に目を向ければ多くの一流のサッカー選手が当然のように別の仕事でも結果を残している。
世界標準で見れば、サッカー選手兼経営者はスタンダード
レアルマドリード所属のクリスチアーノ・ロナウドは、『CR7 underwear』(男性用下着)『CR7クラブス』(トレーニングジム)『CR7』(ホテル)という形で自らのブランドを立ち上げて積極的にサッカー以外の事業でも活動している。
バルセロナ所属リオネル・メッシはアルゼンチンの小規模な優良生産者とコラボしてスパークリングワイン『レオ・ブリュット』を開発。この収益に関して自らのレオ・メッシ財団を通して貧しい子どもを支援する慈善事業にも尽力している。
アーセナルなどでプレーし、現在はスペインのヘタフェで活躍するマチュー・フラミニは、24歳の時に自らが設立したエネルギー会社「GFバイオケミカル」の代表取締役として成功を収めている。2015年時点では400人規模の従業人を抱え新技術が200億ポンド(約3兆7400億円)規模の市場を開拓すると言われている。まさに“選手兼社長”という二刀流で結果を残している一人だ。
他にもバルセロナ所属、スペイン代表のDFジェラールピケはビデオゲーム会社『Kerad Games』を経営しており、Facebook創業者のマークザッカーバーグとも親交がある。また日本人で言えば本田圭佑と同い年のイタリアの名門インテルなどでプレーし、今現在トルコの強豪ガラタサライで活躍する日本代表長友佑都は、スポーツ健康関連会社『Cuore』を経営し代表取締役を務めている。
セカンドキャリアを考えたとき、1つの仕事しかできないことは大きなリスクに
サッカー選手として名誉ある功績、誰もが認める実績を残し、引退後も安心した人生を送れる可能性は極めて低い。Jリーグで20代で引退を余儀なくされても、クラブに貢献していた選手であればクラブスタッフや育成年代の指導者という道があるかもしれない。
しかし、そこに行きつく選手も一握りであり、それ以外の選手は選択肢さえ与えられず、生きていくために社会経験もないまま一般社会へ飛び込むことになるのが現実だ。
現在、日本フットサルリーグで活躍中の、日本代表であり、名古屋オーシャンズ所属の星翔太選手は、アスラボという会社の代表取締役も務めている。自らを「ブレイングワーカー」と称しセカンドキャリアについて語っている。
「2016年に大きなケガをしました。半年以上のリハビリ期間中に、プロのフットサル選手としての自分と向き合いながら、これからの人生の中で必要であろう、学ばなくてはいけないことを整理していました。(中略)選手個人で見ると一般社会や企業との接点は少なく、自分を含めて社会人として知らないことばかりです。プレイヤーとしてのスキルは持っていても、ビジネススキルは持ち合わせていません。(中略)いきなりスポーツとは関係のない世界に挑むのはハードルが高いので、現役選手として戦っている間も時間を見つけて、ビジネススキルを基礎から身につけるべきではないか。」
どれだけフィジカルを鍛えていてもケガによる途中離脱はいつ起こるかわからない。スポーツ選手にケガはつきものである。将来を有望視されたがケガに泣き、引退していく選手は数知れない。サッカーのようなトレーニング中であっても激しい接触が当たり前の世界では完治するまで3カ月から1年間試合に出場できないケースも稀ではない。
サッカー選手にとって、試合に出場できないというのは仕事ができない状態である。クラブからすれば「給料泥棒」扱いになる。能力がないだけなら、別のクラブで自分を求めてくれる職場を探して移籍すればいい。しかし、ケガによって出場機会がないという状態は、選手にとってもクラブにとっても負債にしかならないのだ。
もし、選手生命に関わるケガを負ってしまった場合、その瞬間にサッカー選手としての仕事が終了する。だからこそ、星翔太選手の言葉ではないが、いつ終わりを迎えるかわからないからこそ、他のビジネススキルを磨いておく必要があるのだ。
1 2