政治・社会

ホワイトハウスからスターバックスまで~「強者」による「弱者」迫害と、自浄努力

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youtubeより

 4月12日、フィラデルフィアのスターバックスで「何も注文しなかった」黒人男性2人が逮捕された。510日、ホワイトハウス特別アシスタントが、脳腫瘍を患う高齢の議員について「どうせ死にかかってるんだし」と発言した。514日、トランプは在イスラエル米国大使館をエルサレムに強行移転し、予想通り、抗議するパレスチナ人50人以上が死亡、負傷者2,700人の大惨事となった。これらと同時期に、コロラド州立大学の見学ツアーでは参加していたネイティブ・アメリカンの生徒が「妙なTシャツを着ている」と通報され、カリフォルニア州のコーヒーショップでは白人男性客が居合わせたムスリム女性客に「おまえに殺されたくないんだよ」とハラスメントする事件が起きている。

 上記はおたがいに無関連の事件だが、背後には今のアメリカに蔓延する「強者」が「弱者」を徹底差別し、「弱者を人とも思わず」、「その差別心を隠さなくてよい」とする空気が色濃く漂っている。ある識者はホワイトハウス職員による議員へのコメントについて、「トランプがこうした空気を作ってしまった」と語った。トランプは就任以来、人種的マイノリティ、宗教的マイノリティへの共感が完全に欠落した言動を続けており、差別事件の増加を招いたと言われている。その余波が、政権政党である共和党の「病身=弱者」の政治家にまで及んだのだ 。

 以下、過去1カ月間に起こった主な事件を上げてみる。映像があるものは添付してある。近年は監視カメラに加え、目撃者や被害者自身がスマートフォンで現場を撮影することが多く、さらに警察暴力抑止のために警官がボディカメラ、パトカーがダッシュボード・カメラを装着することも増えている。ただし多くの場合、録画が始まるのは問題が起こってからであるため、事件の原因となったシーンの映像はない。

 なお、アメリカではこうした事件ではほとんどの場合、被害者も実名報道となる。メディアは事実報道の一環として実名を使い、被害者側の多くも「私は被害者統計の数値ではなく、一個人である」という主張から実名報道を厭わない。

4月12日 ペンシルバニア州フィラデルフィア

 不動産業者の黒人男性2人(ラション・ネルソン、ドンテ・ロビンソン)が商談のためにスターバックスで友人を待っていた際、飲み物の注文はせず、店員にトイレの使用を申し出る。トイレ使用は客のみと決められているため、店長(白人女性)は拒否し、警察に通報。駆け付けた4人の警官によって2人は手錠をかけられる。その瞬間にやってきた待ち合わせの相手(白人男性)が驚いた表情で警官に抗議するも、黒人男性2人は逮捕。

●フィラデルフィア警察長官が2人と会い、謝罪。
スターバックスCEO2人と会い、謝罪。
スターバックスは529日に米国内の全8,000店舗を閉めて「人種偏見訓練」を実施することを発表、2人も参加。
スターバックスはトイレを客以外にも解放すると発表。
●2人は市を提訴せず、謝罪の象徴としての1ドルのみを受け取り、高校生のための基金20万ドルを求める。
●2人はオバマ政権時の司法長官で人種問題に取り組むエリック・ホールダーのプログラムにも参加予定。

4月22日 アラバマ州サラランド

 ワッフル・ハウスというチェーン・レストランにて、客の黒人女性(チキーシャ・クレモンズ)が店員と口論となり、店舗側が警察に通報。警官はクレモンズを床に押し倒し、首を絞め、腕を背後にねじり上げるなどした後に逮捕。その際、クレモンズのドレス前部がはだけ、乳房が露出。クレモンズが「何をするの!」と抗議した際、警官は「お前の腕をへし折ろうとしてるんだよ」と応答。クレモンズはプラスチック製のフォークとナイフについて、前回は請求されなかった50セントを請求されたことが口論の原因と語る。

店舗側と警察はクレモンズが酔っており、態度不良であったとコメント。
“Women’s March” がレストランに抗議の公開書簡、抗議デモ。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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