連ドラ主演は4年ぶりだけど、前回の『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(日本テレビ系)の時も、いっぱいの野球部の若い連中を相手にきちんと適材適所な指示を出していて、優しく細やかにみんなの面倒を見ていたわ。
ある時、撮影当日に台本が大幅に変更されて、それが8ページぐらいあってね。いくらニノでもそんな急には覚えられないだろうなと思ってたんだけど、「とんでもない集中力を発揮して、ものの1時間ぐらいで完璧に覚えてきた」とプロデューサーもびっくりしていたわ。
でもね、「ニノは天才じゃないと思った。スタジオの個室に閉じこもって何度も何度も声に出してセリフを言い続けた。休みもせずに、ひたすらずっと練習してた。大丈夫? って聞いたら『焦ってるよ、時間ないしさ。大丈夫じゃないけど、やるしかねーから』って。努力してる所をちょっとだけ見せてもらえた気がして感動しちゃったよ」と言ってたの。スタジオ内の食堂でお気楽に伸びたラーメンをすすりながら待っていたアツは、その話を聞いて鳥肌が立っちゃったわ。「そりゃ努力の上に天才は作られるんだな」って改めて感心。
「役作り? 役作りってどうやるんだろ? 天才って何者? 俺? 俺は天才とはまた違う生き物だと思うよ」と、役者論に関しては決して多くは語ってくれないんだけど、あの数々の演技の中に答えが隠されているんだから、聞くだけ野暮ってもんなのかもね。うっかり毎回、どうしても知りたくなって聞いちゃうんだけど、ニノの演技は見て感じればいいのかもしれないわ。
特に今回は、涼真くんたち若手の台頭も面白いけど、ベテランの市川猿之助さんや内野聖陽さんたちがいらっしゃって、敵対しあうヒリヒリ感がたまらないわよね。猿之助さんは歌舞伎界の重鎮なのに、現場ではみんなを笑わせたりと気さくなお人柄で、内野さんは口数は少ないんだけど、存在そのものがもう重厚で。「俺は台本をもらうとグツグツ煮込んじゃうタイプで、夜な夜なあーでもないこーでもないと一人鍋なんだよ。まさに鍋奉行(笑)。セリフを発するまでに時間がかかるすごく面倒くさい役者」なんだと、インタビューで自虐的に答えてくださったんだけど、ニノとのやりとりのどの瞬間も、何か謎や嘘がありそうで目が離せないものね。ま、大ベテラン相手にさらりと演技をする(かのように見せる)ニノがやっぱり一番すごいけど!
秋には米倉さんの新作ドラマがスタートするそうで、大門未知子ロスは耐えられそうにないけど、今はそれより『ブラックペアン』のシリーズ化を希望したいわ。まぁニノの刑事ドラマでもいいけど。「テレビ見ない。そもそも部屋にないもん。YouTube見てるかゲームしてるかどっちかだな」という若い世代のテレビ離れを止められるのは、もう本物の演技派俳優たちが出演する内容の濃い刑事ドラマor医療ドラマだけなのかもしれないわ。その第一人者はまずは怪優・二宮和也なのかも。あの自然っぽく見える超越した演技、教えてもらえなくてもやっぱりその謎が知りたいしね。ニノに何度も聞きたくなっちゃう気持ち、わかっていただけると幸いです。努力型天才俳優・二宮和也から、いつか答えをもらえる日が来るまで、アツも精進致しますっ、ハイ!