社会

レイシストにツイッターが正義の鉄槌!〜NYの憎悪弁護士がいかに追いつめられたか。

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 前回、全米で過去1カ月間に連発した15件の人種民族/宗教差別事件をリポートしたが(*)、原稿を書き終えた日にニューヨークで新たな事件が発生していた。

(*)ホワイトハウスからスターバックスまで〜「強者」による「弱者」迫害と、自浄努力

 ニューヨーク・マンハッタンのレストランで、白人男性がスペイン語話者に「スペイン語ではなく英語で話せ」など、尋常ではない罵詈雑言を浴びせたのだ。白昼、多くの客に囲まれて男性が怒鳴り散らす様子はスマートフォンで撮影され、SNSに投稿された。すると瞬く間に人権活動家、ジャーナリスト、政治家、大手メディア、男性の大学の同窓生、ビジネス顧客、大家にまで拡散し、男性の氏名、職業、事務所の住所、さらにはレイシストとしての過去の行状までが暴かれた。

 その結果、SNSへの映像投稿からわずか3日で弁護士である男性の職業生命が断ち切られる寸前となった。この一連の流れは「ツイッター・ジャスティス」(ツイッターによる正義)と呼ばれている。以下、事件のタイムラインを記す。

Day 1(5月15日)

1:26pm
ニューヨーク・マンハッタンのビジネス街、ミッドタウンのデリ/レストランで、白人男性がスペイン語で会話するウェイターと2人の女性客に怒鳴り散らす様子を収めたビデオがフェイスブックにアップされた。アップしたのは女性客の1人の夫。5/18現在の閲覧数は600万回。

 ビデオの内容:昼食のパニーニを買いに来た白人男性が、スペイン語で会話する店員と客に怒り、店長に向かって怒鳴り始める。

「店員が客にスペイン語で話している!英語で話すべきなのに!」
「不法移民だろう!全員、オレの国から追い出すためにICE(*)に電話するぞ」
「こいつら、この国に来て、オレの金で生活する根性があるとは!オレがあいつらの福祉費用を払ってるんだよ!あいつらがここにいられるよう、オレが金を払ってるんだよ!だったらせめて英語を喋れ!」

 男性は、途中で女性が笑い声を上げたこと、誰も自分に同調しないことからさらに怒り、怒鳴り続けた。最後は注文したパニーニを受け取らずに店を後にしている。

 ちなみにスペイン語で会話していた3人が「不法移民」「合法移民」「米国市民」のいずれであるか男性には知るよしもなく、強い 偏見に基づく誤った断定である。

(*)ICE(Immigration and Customs Enforcement)は不法移民の逮捕をおこなう部署。職員は背中に大きく「ICE」と書かれたジャケットを着用し、移民の住居や職場のみならず、トランプ政権となってからは学校などにも出向いて不法滞在者を逮捕、拘束し、収容センターに連行することから移民に恐れられている。

 

 

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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