是枝裕和の樹木希林への信頼。『万引き家族』で果たした樹木希林のあまりにも大きい役割

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 この発言が端的に示しているように、樹木希林は丹念な下準備をもって作品に臨む役者でもある。そういった準備があるからこそ、ここぞというときのアドリブが光るのだともいえる。

『文藝別冊 是枝裕和』(河出書房新社)に掲載されている是枝監督とリリー・フランキーの対談で二人は<鍛錬というか積み重ねをしてる人。たとえば団地に暮らしているおばあちゃんの役をやるときにはすごく準備してる>(是枝)や<すごい下調べされますもんね。希林さんが上品な人なんで、その役作りを表には出しませんけど>(リリー)と指摘しているが、それは『万引き家族』においても同様だ。

 今回の作品にあたって、樹木希林は入れ歯を外したり、みすぼらしくするために敢えて髪を伸ばしたりして撮影に臨んでいるが、前掲「SWITCH」によれば、そのどちらも彼女から発信されたアイデアであったという。普通なら映りが悪くなるようなことは嫌がっても不思議ではないが、それこそが『万引き家族』で貧乏な家に暮らすおばあちゃんを演じるにあたっての役づくりであり、是枝監督の言う<鍛錬というか積み重ねをしてる人>というのが決してお世辞なのではないことがよくわかる。

 樹木希林の果たしたこのような役割に思いをめぐらせながら見ると、より映画作品の味わいが深くなるのではないだろうか。

(白石 広)

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