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松坂桃李の将来を見据えたクレバー過ぎるキャリア設計に感嘆!

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映画『孤狼の血』公式サイトより

映画『孤狼の血』公式サイトより

 21日深夜に放送された『菅田将暉のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)に、“勝手”にゲスト出演した松坂桃李(ゲスト出演は三回目)。二人は同じ事務所(トップコート)の先輩後輩関係にあることもあり、松坂桃李はやりたい放題のトークを展開した。のっけから<また来ちゃったね。仕事と仕事の合間の、まあ休憩みたいなもんですね。ここ違うの? 休憩所じゃないの?>と言い放ち、菅田将暉も思わず<来てくださるのはありがたいですよ。ありがたいですけど、言っておきたいのは、好きなときに来ていいっていう場所じゃない>と注意してしまうほどの自由さ。しかし、松坂はそんなことは気にもとめず、番宣もそこそこに自身がハマり続けている携帯アプリゲーム『遊戯王 デュエルリンクス』に関する話題を延々と話し続けていた。

 テレビでは見ることのできない姿でファンを喜ばせた松坂桃李だが、肝心の俳優業では現在、飛躍の時を迎えている。東映が満を持して製作した任侠映画『孤狼の血』は大きなヒットを記録。評論家からも称賛の声が相次いでいる。

 『孤狼の血』は、昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島を舞台に、マル暴刑事と暴力団との間の駆け引きを描いた映画。叩き上げのベテラン刑事・大上章吾を役所広司が、その大上とコンビを組む広島大学出のエリート刑事・日岡秀一を松坂桃李が演じている。

 監督を務めたのは、『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』など、バイオレンスな映画づくりには定評のある白石和彌。松坂と白石和彌監督は、昨年公開の『彼女がその名を知らない鳥たち』以来、短いスパンでの仕事となるが、実は、『孤狼の血』のオファーを出した段階では、まだ一緒に仕事をしたことすらない状況だったという。そんな二人を結びつけたのは、舞台版『娼年』(2016年上演)だった。『孤狼の血』公式パンフレットに掲載されているインタビューで白石監督はこのように明かしている。

<桃李君とは、この作品のオファー時は、まだ一緒に仕事をしていなかったんです。でもちょうど舞台『娼年』を観ていて、彼が只のイケメン俳優ではなく、本人もそれで終わるつもりのない役者だとすぐに察したので迷わずオファーしました>

 今年4月には、舞台で演出を務めた三浦大輔がメガホンを取り、松坂桃李が主演を務めて映画化された『娼年』。この作品は、大学もサボりがちで、人生に目的を見出せない森中領(松坂桃李)が、ふとしたきっかけで男娼の仕事を始め、その仕事を通じて成長していくという物語。作品のなかでは複数の女性との濡れ場が描かれ、その描写はAVもかくやというほど激しいものだった。

 俳優としては刺激的な役ではあるが、芸能人としてこのオファーを受けるのが正解かどうかはわからない。実際、三浦大輔もオファーと同時に<『娼年』をやるとイメージが明らかに変わるけど大丈夫?>と注意喚起をしていたらしい。

 しかし、松坂はこのオファーを快諾。むしろ、<イメージが明らかに変わる>という状況は渡りに船だったようだ。ウェブサイト「CINRA」のインタビューで彼は<僕がそれまでやってきた作品のテイストを考えると、なかなか自分のイメージからは遠い作品ではあったと思うんです。でも、自分が今後、役者の仕事を続けていく……今年で30歳になるんですけど、40歳、50歳、そしてそれ以降になっても続けるにあたっては、僕がいままで20代の前半でやってきたような仕事のスタイルでは、なかなか難しいだろうなって思い始めていたので>と語り、俳優という仕事を生涯続けていくものとするためには現状のようなキャリアの積み方では不足があり、どこかで脱皮を図りたいと感じていたと述べていた。

 そういった新たな挑戦は、自分を成長させてくれる人との出会いを求めての旅でもあった。松坂は「別冊カドカワDirecT 12」(KADOKAWA)に掲載されたインタビューで<シフトチェンジをしようと考えた結果、20代で体験できるまだやったことのない役にできるだけ挑戦しようと思ったんです。30代を目前にした今はいろいろな作品の色に染まってみることが必要な時期だと感じていたし、それが30代になったときのいい作品、いい監督、いい役と巡り合うための自分の大きな財産になりますから>と語っているが、舞台版『娼年』が白石監督との縁になり、『孤狼の血』につながっていることを考えると、その試みは30代に入る直前にして、早くも実を結び始めているといえそうだ。

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