“再起の物語”が受け入れられやすいメディア環境
では、実際問題DA PUMPは、今後再起できるのだろうか? メディア文化論を専門とする大妻女子大学の田中東子准教授はこう語る。
「有吉弘行さんや坂上忍さん、三浦大知さんなど、日本の芸能界で今人気を博している芸能人は、一度は絶頂に上り詰めながらも、いったん人気を失い、そしてまた再起したーーという物語を背負っている人が多い。これは、SNS時代特有の事象だと考えられます」(田中東子准教授)
SNSは、嫉妬を呼び込む装置だ。「少しでも注目を集めた人は、もれなく叩かれてしまうというメディア環境にある」と田中准教授。「テレビタレントであっても、『1度地獄を見ていないと許さない』といった雰囲気が、SNSには存在する」というわけだ。
「逆にいえば、地獄から這い上がってきた人たちの言葉は、説得力を持って受け入れられやすい環境にあるともいえます。SNS上での嫉妬に対して、『苦汁をなめたあの時』という物語が効いてくる。『あの時』の存在が、SNSで吸引されがちなバッシングや憎しみを緩和し、アンチを寄せつけにくくするわけです。DA PUMPもまた、辛酸を嘗めた時期を経験している。となれば、再起を果たしたほかのタレントさん同様、SNSを中心に再び火がつく可能性は十分に秘めているのではないでしょうか」(田中准教授)
さらに田中准教授はこう語る。
「モーニング娘。は、AKB48という巨大グループの登場後、『古いけど、一周回ってなんかカッコいいもの』といったイメージを帯びてメディアの前に再登場を果たしました。同様にDA PUMPも、EXILEを中心に現在大活躍中のLDHグループの登場によって、『いったんは過去のものになったけど、なんかカッコいい』といった印象をまとって再ブレイクする可能性は大いにあります。というか今回の盛り上がりは、現にそうなりつつあるきざしかもしれませんね」(田中准教授)
ハロプロファンの盛り上がりを超え、メディアがこぞって紹介し一般層にまで届きつつある、今回の「U.S.A」人気。DA PUMP、二度目のフィーリングッドな春が、どきゅーんずきゅーんとやってくるかもしれない。
(有馬ゆえ)
【編集部註】記事中盤の、当時のモーニング娘。メンバーと比較してDA PUMPメンバーを論じる箇所ですが、比較対象としてKENZOさんの名前が抜けておりましたため、2018年5月25日午前、KENZOさんも含めた形に修正いたしました。DA PUMPのメンバーおよび関係者のみなさま、そしてファンのみなさまにお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
1 2