本田圭佑のツイートが大炎上した理由 日大アメフト部の責任と私刑の問題

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本田圭佑オフィシャルWEBサイトより

本田圭佑オフィシャルWEBサイトより

 連日メディアで大きく取り上げられている日本大学アメリカンフットボール部による悪質タックル問題。日大側のあまりにひどい対応と、すべての責任を選手に押し付けようとするブラック体質に怒りの声があがっているわけだが、そんななか、サッカー日本代表の本田圭佑選手がツイッター上にこんな文章を投稿。批判の声が多く寄せられている。

<監督も悪いし、選手も悪い。傷つけられた選手は生死に繋がるような怪我でなくて何より。

ただ毎日寄ってたかって責め続けるようなことでもないでしょう?

あのタックルは罪だし究明もすればいい。ただこのニュースにいつまでも過剰に責め続ける人の神経が理解できないし、その人の方が罪は重い>

 これに対し、フォロワーからは、<本田選手にはサッカー選手としてある種のリスペクトがあったんだけど、この発言で、その尊敬の念はなくなりましたわ。残念だよ><いやいや本田さん、あなたの視点ズレてるんじゃない? 毎日攻め続けているのではなく、監督やコーチ、大学が逃げずに真実を話せば終わる話でしょ!>といったリプライが投稿されている。

すべての責任を選手になすりつけようとする日大アメフト部

 今回の問題の本質は、圧倒的な権力の差を背景に、監督が選手に対し悪質プレーを行うよう仕向け、いざそれが問題になったら、監督がすべての責任を選手に押し付けて逃げようとしていることにある。

 523日夜に開かれた会見で、内田正人前監督は「私からの指示ではございません」と弁明。また、井上奨コーチは「QBを潰してこい」と言ったことは認めながらも、その言葉は「覚悟を決めてほしい」という意味合いだったと主張し、指示を受け止めた宮川泰介選手に責任転嫁した。ただ、たとえ彼らの発言が真実であったとしても、選手がそのように認識してしまった背景には、内田前監督からの強いプレッシャーがあったことは疑いようがなく、その問題について検証および説明する義務があるだろう。

 また、そもそも、内田前監督の「私からの指示ではございません」という言葉自体にも疑いが残る。というのも、「週刊文春」(文藝春秋)2018531日号には、関西学院大学との試合後に囲み取材に応じた内田前監督の発言が掲載されているのだが、そこでの発言が明らかに悪質タックルを指示したものだからだ。

 内田前監督は宮川選手の反則プレーを<よくやったと思いますよ。もっといじめますけどね。だけど、そうじゃなかったら、関学みたいなチームに勝てないでしょ><法律的には良くないかもしれないけど、そうでしょ>と評価。また、<僕、相当プレッシャーかけてるから><宮川でも、全部、ディフェンスでも>と、選手に対するプレッシャーについて明言しつつ、挙げ句の果てには、ラフプレーに対して<内田がやれって言った、でいいじゃないですか><あのぐらいラフプレーにならないでしょ>とまで言い切っている。これは、いままで出ている内田前監督の発言とは明らかに齟齬があるが、これに対しても説明する必要がある。

真相解明のため、メディアの追及は絶対に必要

 本田選手のツイートに話を戻すが、もしも彼の<このニュースにいつまでも過剰に責め続ける人の神経が理解できないし、その人の方が罪は重い>という言葉が、日大アメフト部の問題を取り上げ続けるメディアのことを指しているのだとしたら、それはとんでもない考え違いだ。

 ここまでの経緯を見ればわかる通り、内田前監督をはじめとした日本大学側は事の真相を明かすことを拒み、有耶無耶にして逃げようとし続けてきた。その姿勢はこれだけの騒動にまで発展したいまになっても変わっていない。もしも、メディアがしつこく追及しなければどうだっただろうか? 事実が明かされることはおろか、内田前監督は監督の椅子に座り続け、さらなる犠牲者を出していた可能性だってある。

 この問題がなぜ人々の怒りを引き起こし、メディアも大々的に取り上げ続けているのか。それは、この日本大学のケースが日本社会を象徴するような出来事だからだろう。古くは、戦地の最前線にいる兵士を捨て鉢にして上官たちが逃げ出した大日本帝国軍もそうだろうし、「部下にすべての責任を覆いかぶせて上司は雲隠れ」という現象は、事の大小はともあれ、日本全国津々浦々の学校や職場で起きていることでもあるだろう。そしてそれは、巷間指摘されている通り、すべての責任を現場の官僚に押し付けようとしている点で、森友・加計の問題とも重なる。

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