元℃-ute鈴木愛理が、日本武道館公演を成功させねばならないこれだけの理由

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2018年6月6日に発売される鈴木愛理『Do me a favor』(ブルーレイ付き初回生産限定盤)のジャケット。

2018年6月6日に発売される鈴木愛理『Do me a favor』(ブルーレイ付き初回生産限定盤)のジャケット。

 昨年6月に解散したハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)の5人組アイドルグループ・℃-uteの元メンバーである鈴木愛理が、7月9日にソロとしては初となる日本武道館公演を開催する。5月27日には、一般プレイガイドにて同公演のチケットが発売されたが、即日ソールドアウトとなった。

 ℃-ute解散後、ソロ活動スタートに向けて準備を進めていた鈴木愛理。2017年の大晦日から2018年の元日にかけて行われたハロー!プロジェクトのカウントダウンコンサートにサプライズ出演し、ソロとしての新曲「未完成ガール」を披露した。その後、3月からライブ活動を開始、6月6日にはファーストソロアルバム『Do me a favor』(アップフロントワークス)も発売される。

 2000年代後半のAKB48の大ブレイク以降、「アイドルブーム」と呼ぶべき状況ができあがりはした。しかし、グループから卒業したメンバーやグループ解散後のメンバーが、引き続きソロ歌手としても成功を収めた例は、残念ながら皆無に等しい。そんななか、ソロとしての日本武道館公演をソールドアウトさせた鈴木愛理は、ソロ歌手として成功する可能性を存分に秘めた“元アイドル”ということになるだろう。

 鈴木愛理は、“実力No.1アイドル”とも評されていた℃-uteでセンターを務めるだけでなく、アイドル活動と併行して有名大学にも通い、さらには女性ファッション誌「Ray」(主婦の友社)でも専属モデルを務めるという、八面六臂の活躍を続けるまさに鉄人ともいえる人物。現役アイドルの中にも彼女のファンを公言する者は多く、いつしか「アイドルが憧れるアイドル」と呼ばれるようになった、まさにアイドルの中のアイドルなのである。

 そんな鈴木愛理の成功を待ち望んでいるのは、何もファンだけではない。「彼女の成功は、彼女の所属する大手芸能プロ・アップフロントグループにとっても至上命題であるはず」と語るのは、ある大手芸能プロ関係者。

「一般の方はどうしてもアイドル自身の売れた売れないだけを話題にしがちですが、実は卒業後のアイドルが、自身の希望する分野できちんと成功を収められるかどうかというのは、その事務所のその後のビジネスにも大いに関係してくるのです。

 まずは、後輩たちのモチベーション。先輩アイドルが成功しているかどうかというのは、後輩アイドルたちのモチベーションに直結してきます。

 例えばAKB48グループは、確かに売れっ子メンバーこそメディアの注目を浴びてきらびやかに活動していますが、メンバーが多くて競争率も高い上、売れなければ“使い捨て”感も強く、卒業後は不遇をかこっているタレントさんも多いですよね。実際うちの10代のタレントでも、『AKBのオーディションも進んでいたけど、辞退してこちらに来た』という子がいます。

 ハロプロさんの場合でも、アイドル卒業後は藤本美貴さんや矢口真里さんなどバラドルとして成功するか、あるいは里田まいさんのように野球選手の奥さんとして成功している例はありますが、女優、あるいはミュージシャンとして大成功を収めている例は少ない。

 そうするとどうなるか。後輩アイドルたちは、『ここにいても大丈夫だろうか。卒業すれば結局引退するしかないのでは……』『いずれは女優さんになりたいんだけど、結局トーク技術を磨いてバラドルになるしかないのかな……』と不安になり、活動に身が入らなくなる。あるいは親御さんに説得されて中学卒業、高校卒業のタイミングで辞めてしまう……ということになってしまいがちなんです。そういうイメージができあがると、そのプロダクションが主催する新人オーディションの応募人数が減ったり、スカウト活動における成功率が下がったり……ということにも繋がっていく」(大手芸能プロ関係者)

 つまり、所属アイドルが成功裏に長く活動しているかどうかということは、その芸能プロへの次世代タレントのタマゴたちの集まり具合にも大いに関係してくる、というわなのである。 別の中堅芸能プロ関係者もこのように続ける。

「そもそもアイドルなんて、費用対効果でいったら非常に効率が悪いわけです。大人数をマネジメントし、ライブを重ね、そのためのリハをやり、握手会を繰り返し、物販で商品を大量にさばいてやっとなんとかペイできる。ところが女優になれば、ひと現場いくらで出演料が確実に入ってくるうえ、大型広告が取れれば数千万円単位が事務所に入ってくる。ミュージシャンになれば、マネジメントするのはひとりで済み、握手会の繰り返しで本人・事務所ともに疲弊せずとも、CDを含む物販が勝手に売れていく。もちろん“成功を納めれば”という条件付きではありますが、要はこうしていったん売れっ子を作ってしまえば、効率はきわめてよいビジネスをやっていけるわけです。だからこそ大手事務所になればなるほど、アイドルは才能を見極めるための準備期間。最終的には女優やミュージシャンとして羽ばたいてほしい。そのためにこそ戦略を巡らせたい……ってみんな考えてますよ」(中堅芸能プロマネージャー)

 さて、話を鈴木愛理に戻そう。もちろんミュージシャンとして成功することは、鈴木愛理個人の純粋な夢であることに変わりはないだろう。しかし、以上のような業界関係者の話を踏まえてみれば、彼女の成功は、単純に彼女本人のためだけでなく、彼女の後輩たちや所属事務所にとってもきわめて重要な意味を持つことはおわかりいただけたろう。そしてそのことは、キャリアの長い鈴木愛理にしてみれば、言われなくても本人こそが痛いほどわかっているはずなのである。

 そんな鈴木愛理なのだから、ソロ歌手として成功することは、もはや使命といえるはずだ。鈴木愛理のファンにとっても鈴木愛理に憧れているアイドルたちのためにも、そして鈴木愛理の後輩や所属事務所関係者にとっても、鈴木のソロデビューに失敗は許されない。だからこそ、ソロでの日本武道館公演という高いハードルを課され、実際にチケットのソールドアウトという形で、彼女は見事そのハードルを超えてみせた。それは世の中が鈴木愛理という“元アイドル”に注目していることの証であり、さらにいえば鈴木愛理の成功を願う人がそれだけたくさん存在しているということなのであろう。

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