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6月14日に開幕が迫る2018FIFAワールドカップ ロシア大会。5月31日、日本代表メンバーが発表され、いよいよ盛り上がりを見せてきた。ワールドカップでは、すべてのチームが戦前の評判通りに活躍する保証はどこにもない。過去の大会でも、FIFAランキング上位の強豪国が実力を発揮できずに大会をあとにした例は少なくない。まずは、前回の2014FIFAワールドカップ ブラジル大会での大番狂わせを振り返っておこう。
スペイン、イタリア、イングランド、ポルトガルと強豪国が軒並み敗退
以下は、2014FIFAワールドカップ ブラジル大会直前のFIFAランキングのトップ10と、大会の結果だ。
1位 スペイン(グループリーグ敗退)
2位 ドイツ(優勝)
3位 ブラジル(4位)
4位 ポルトガル(グループリーグ敗退)
5位 アルゼンチン(準優勝)
6位 スイス(ベスト16)
7位 ウルグアイ(ベスト16)
8位 コロンビア(ベスト8)
9位 イタリア(グループリーグ敗退)
10位 イングランド(グループリーグ敗退)
ランキング10位以内の国のうち、グループリーグで4チームが敗れている。決勝戦に残ったのはドイツ(FIFA2位)とアルゼンチン(FIFA5位)だったが、3位決定戦でブラジルに勝利したオランダはFIFA 15位。これだけでも、FIFAランキングの順位が、そのままW杯の結果に結びつくわけではないことがわかる。
次に、各グループの順位を見てみる。1位と2位がグループを突破した国だ。当然ながら、3位と4位はグループリーグを敗退したチームになる。
グループA
1位 ブラジル(FIFA3位)
2位 メキシコ(FIFA20位)
3位 クロアチア(FIFA18位)
4位 カメルーン(FIFA56位)
グループB
1位 オランダ(FIFA15位)
2位 チリ(FIFA14位)
3位 スペイン(FIFA1位)
4位 オーストラリア(FIFA62位)
グループC
1位 コロンビア(FIFA8位)
2位 ギリシャ(FIFA12位)
3位 コートジボワール(FIFA23位)
4位 日本(FIFA46位)
グループD
1位 コスタリカ(FIFA28位)
2位 ウルグアイ(FIFA7位)
3位 イタリア(FIFA9位)
4位 イングランド(FIFA10位)
グループE
1位 フランス(FIFA17位)
2位 スイス(FIFA6位)
3位 エクアドル(FIFA26位)
4位 ホンジュラス(FIFA33位)
グループF
1位 アルゼンチン(FIFA5位)
2位 ナイジェリア(FIFA44位)
3位 ボスニア・ヘルツェゴビナ(FIFA21位)
4位 イラン(FIFA43位)
グループG
1位 ドイツ(FIFA2位)
2位 アメリカ(FIFA13位)
3位 ポルトガル(FIFA4位)
4位 ガーナ(FIFA37位)
グループH
1位 ベルギー(FIFA11位)
2位 アルジェリア(FIFA22位)
3位 ロシア(FIFA19位)
4位 韓国(FIFA57位)
最大の波乱はグループBのスペイン敗退だ。スペイン(FIFA1位)は、2010FIFAワールドカップでは、ヨーロッパの予選を10戦全勝で本戦への出場を決め、そのままの勢いで優勝を飾った。ヨーロッパのナンバー1を決めるUEFA EURO 2012でも、スペインは優勝。まさに“無敵艦隊”そのものだった。
2014FIFAワールドカップでは、優勝候補の筆頭に挙げられていた。しかし、グループリーグ初戦のオランダ戦で1対5の大敗。次戦のチリ戦も無得点で負け、W杯の舞台から散っていった。
もうひとつは死のグループと呼ばれていたグループDだ。戦前の予想では、W杯優勝経験のあるイタリア(FIFA9位)、イングランド(FIFA10位)、ウルグアイ(FIFA7位)の3チームがセカンドリーグへ進む2枠を争うと見られていた。だが、コスタリカ(FIFA28位)がウルグアイとイングランドに勝利し、グループリーグをトップで通過。イングランドは1勝もできずに、W杯から消えた。
続けて、さらにさかのぼって2010FIFAワールドカップ 南アフリカ大会と、2006FIFAワールドカップ ドイツ大会をチェックしてみる。
イタリアとフランスがグループリーグで敗退
以下は2010FIFAワールドカップ 南アフリカ大会の各グループの3位と4位だけを挙げてみた。つまり、グループリーグを敗退したチームだ。
グループA
3位 南アフリカ(FIFA83位)
4位 フランス(FIFA9位)
グループB
3位 ギリシャ(FIFA13位)
4位 ナイジェリア(FIFA21位)
グループC
3位 スロベニア(FIFA25位)
4位 アルジェリア(FIFA30位)
グループD
3位 オーストラリア(FIFA20位)
4位 セルビア(FIFA15位)
グループE
3位 デンマーク(FIFA36位)
4位 カメルーン(FIFA19位)
グループF
3位 ニュージーランド(FIFA78位)
4位 イタリア(FIFA5位)
グループG
3位 コートジボワール(FIFA27位)
4位 北朝鮮(FIFA105位)
グループH
3位 スイス(FIFA24位)
4位 ホンジュラス(FIFA38位)
2010FIFAワールドカップ 南アフリカ大会は波乱の大会と語り継がれているが、最も世界を驚かせたのはグループFのイタリア(FIFA5位)だ。イタリアのキャプテンは、当時のイタリア代表最多出場記録を更新していたファビオ・カンナヴァーロ。前回の2006FIFAワールドカップ ドイツ大会で、イタリアは通算2失点で優勝した。伝統の守備的戦術・カテナチオを武器に、本大会でも優勝候補に挙げられていた。ところが、グループリーグでは3試合で5失点。1勝も上げることなく、W杯の舞台から消えた。
もう1チームは、グループAのフランス(FIFA9位)だ。3試合で1得点しかあげることができなかった。しかも、その1得点はグループリーグ最終戦の後半だった。フランスのエース、フランク・リベリーは無得点。チーム内での関係悪化を伝える報道があったが、それにしてもまさかの結果だった。イタリアとフランスに共通するのは、世代交代がうまくいかなかったからだといわれている。
チェコ(FIFA2位)とアメリカ(FIFA5位)敗退
次に2006FIFAワールドカップ ドイツ大会の各グループの3位と4位だけを見てみる。
グループA
3位 ポーランド(FIFA29位)
4位 コスタリカ(FIFA26位)
グループB
3位 パラグアイ(FIFA33位)
4位 トリニダード・トバゴ(FIFA47位)
グループC
3位 コートジボワール(FIFA32位)
4位 セルビア・モンテネグロ(FIFA44位)
グループD
3位 アンゴラ(FIFA57位)
4位 イラン(FIFA23位)
グループE
3位 チェコ(FIFA2位)
4位 アメリカ(FIFA5位)
グループF
3位 クロアチア(FIFA23位)
4位 日本(FIFA18位)
グループG
3位 韓国(FIFA29位)
4位 トーゴ(FIFA61位)
グループH
3位 チュニジア(FIFA21位)
4位 サウジアラビア(FIFA34位)
2006FIFAワールドカップは例年に比べて、波乱が少なかった大会といわれている。唯一、番狂わせがあったとすれば、グループEのチェコ(FIFA2位)だ。当時のチェコは、ロシツキーやネドベドなど、豊富なタレントを擁していた。前評判では、グループEを勝ち抜けるのはイタリアとチェコという予想が大半だったが、イタリアとガーナに負け、1勝2敗の勝ち点3で、グループリーグを突破できなかった。チェコは、アメリカとの初戦で、中心選手の負傷というアクシデントが痛かった。
2018FIFAワールドカップ ロシア大会が波乱になるのか、それとも、強豪国が順当に勝ち上がっていくのか。ただ、ひとつの波乱も起きなかったW杯は一度もない。グループリーグは、10日間で3試合をこなすハードな日程のため、その時期にチームの調子をピークにもっていけるかどうかが重要になる。
イギリス最大のブックメーカーであるウィリアムヒル社によると、2018FIFAワールドカップ ロシア大会の優勝国オッズは、ドイツ(5.5倍)が最も高い評価を受けている。次いで、ブラジル(5倍)、フランス(6.5倍)、スペイン(7倍)、アルゼンチン(10倍)、ベルギー(12倍)、イングランド(17倍)が上位だ。
最後に、2018年5月17日に発表されたFIFAランキングのトップ10を挙げておく。
1位 ドイツ(グループF)
2位 ブラジル(グループE)
3位 ベルギー(グループG)
4位 ポルトガル(グループB)
5位 アルゼンチン(グループD)
6位 スイス(グループE)
7位 フランス(グループC)
8位 スペイン(グループB)
9位 チリ ※W杯不出場
10位 ポーランド(グループH)
2018FIFAワールドカップ ロシア大会ではどんな大番狂わせがあるか? そんな予想をしてみるのも一興だ。