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アレルギー持ちの彼氏を殺しかけた母親、「悪気はない」で許されるか?

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Thinstock/Photo by piotr_malczyk

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 花粉症や猫アレルギーをはじめ、最近では香料などで体調に異変を生じる化学物質過敏など様々なアレルギーがあるが、医療関係者や当事者以外は「気の持ちようだよ」とトンチンカンな励まし方をすることもあり、悩ましい問題だ。食べ物にアレルギーを持つ人も多く、甲殻類や小麦粉、卵や果物、おのおの異なる種類の食品でアレルギー症状を引き起こされる。少量摂取するだけでも激しいアレルギー反応を示すこともあり、2013年には乳製品を食べられないアレルギー体質の女児が学校給食で誤ってチーズ入りのチヂミを食し、アレルギー反応を起こして死亡するという痛ましい事件が起きた。

 ときには命にかかわることもある恐ろしいアレルギーだが、前述のように「気の持ちよう」や「好き嫌いしちゃだめだよ」などと軽く捉えて理解しようとせず、“善意”やイタズラ心からとんでもない行動に出る者もいる。今回はアレルギーにまつわる無理解から引き起こされたこんな恐怖体験を紹介したい。

彼氏に嫌われてしまいました

 トピ主(女性・年齢不明)には付き合って3年になる彼氏と結婚を考えている。先日初めて彼をトピ主の両親に紹介して、一緒に夕食を取っていた時の事。

 彼は海老アレルギー持ちで、ちょっとの海老のエキスでも酷いショックを起こしてしまう。だが、トピ主の母親はそれを“甘え”と解釈してしまったようだ。

「母は昔から古い考えの持ち主で、私も困っていました
アレルギーは甘えだと思っていたようで、
夕食のスープのつみれに、エビをわからないように小さくすりつぶしていれたんです
何も知らない彼はそれを食べてしまい、ショックを起こして酷い状態になりました
そこからはあまり覚えはいません」

 それ殺人未遂罪!!!!! 幸いなことに命に別状はなかった彼は病院で回復した後、トピ主に「話がある」と切り出した。

「俺は君のお母さんとはもう付き合えないし、家族になりたくない
海老とわかるように出して、食べてみなさいと言われた事はあるし
まだ分からなくもないが、すりつぶしてわからないように入れるなんて
最低最悪だよ」
「謝罪は受けたけど、本当に謝罪してるようには見えなかったよ」

 トピ主は彼に「本当にごめんなさい、母にはもう一度きちんと謝罪してもらうから許してもらえないか」と許しを請うたが、「しばらく考えたいので、その間は会わないようにしよう」と言われてしまったのだという。あんなに冷めた表情をした彼を見たのが初めてだったトピ主、このまま振られるのではないかと考えると悲しい気持ちになっている。

「本当に彼にした事は申し訳ないと思っています
でも、母がした事なんだからと思ってしまう自分もいます
本当に彼が好きで、初めてこの人と結婚したいと思いました
皆さん、私はどうすればいいでしょうか?」

という相談だ。ハードである。

 お母さん、アレルギーは甘えで気合いで治せると思っていたのか。これまでアレルギーが原因で起こった様々な事故の報道に触れたことがあれば、とてもこのようなことはできないのだが……知っていても、気合いでなんとかなるはずだと思っていたのなら恐ろしい。いや、他人であればそうした症状にも理解は示せるが、家族になるかもしれない人に対しては途端に「アレルギー=甘え」という構図で見るようになるのか? トピ主母の行動はまるで「アレルギー」に対してではなく「嫌いなものを食べさせるため」のやり方に見える。

 とにかく、トピ主母は彼がアレルギー持ちであることを知っていたのに、このように隠してこっそり食べさせるという手段をとったのだから、いまだにアレルギーというものが好き嫌いの範疇にあるものだと誤解している人も多いのかもしれず、恐ろしい世の中だ。

 何より恐ろしいのは、トピ主もアレルギーの怖さを彼氏を通して知っていながら「母がした事なんだから」と思ってしまってもいることだ。殺人行為だが、私の愛する母のやったことだから許して欲しいというのはなかなかにキツイ。彼もこうしたトピ主の態度に冷めるところがあるのではないか。またトピ文からは、どうもトピ主母がきちんと謝っている様子もみられないので、自分がどれほど恐ろしいことをしたかをトピ主母自身がまだ認識していない可能性もある。そりゃ今後の交際は無理だろう。なんてったって、彼にとっては身の危険が及ぶのだから。

 トピには当然ながら「びっくり」が集まりまくり7000を超え、コメントもトピ主とトピ主母への批判が相次いだ。

「もし彼がアレルギーで死んでも同じ事言えますか? アレルギーは死にますよ? 私が彼の親なら絶対に反対します。だってアレルギーの人にアレルギー物質を摂取させないのは基本的な事です。それも内緒ですり潰して入れるのは最早『確信犯』です。
あなたにお子さんが産まれてそのお子さんに
『アレルギーなんて甘え。すり潰して食べれたら甘えと言うことが分かって良いでしょ?』
ってアレルギーの子供にアレルギー物質を与えられても
『だって母親のした事だもん!』
って言えますか? 言えないでしょ?」

「無事、回復したから良かったものの、あなたのお母さんがしたことは殺人未遂ですよ?
甘えだと思ってるにしても、わざわざすりつぶして混ぜるなんて手の込んだことする必要あります?
ほら食べられたじゃないの! なんてやる必要あるの? それをしてどうなるの?
子供が生まれてアレルギーあったら同じことしますよ。
あなたのお母さんは今後もそれをやり続けるんですよ。
結婚なんて無理でしょ」

「“そこからはあまり覚えていません”、“病院で回復してから”って事は救急搬送されたのですね。恐らく激しいショック状態だったのでしょう。
それなのに“謝罪は受けたけど~”って、相当な対応だったのでしょうね。
昨今って言うかかなり前からアレルギーに対する警鐘や注意喚起はあちこちで聞かれます。
主様の年代のお母様って言うか人の親なら最低限の知識が有ってもおかしくないです。
アレルギーやうつ病などの“気合で治る説”を信じている人なんてかなりの“高齢”ですよ。
お母さまの行為は“悪意が有る”と取られてもおかしくないです。
ひょっとしたら“あら、食べられるじゃない。だから言ったでしょ!アレルギーなんて気持ちの問題なんだから”と、でも言いたかったのでしょうが、とんでもない危険な考えだし、げんに、とんでもないコト(=救急搬送)まで起しちゃったのですから。
ハッキリ言いますが、お母様独りで謝っただけでは済みませんよ。
主様のご両親が菓子折りを持って元彼の家に謝罪に行っても足りないくらいです」

「母がした事なんだからと思う自分もいます? いやあ、、甘いなあ。その思いがあなたにあってそれが彼氏さんに通じたら、もう無理だと思いますよ。
アレルギーショックって本当におおごとです。彼氏さん、死ぬ思いをしたんじゃないの。
それをまたあなた『あまり覚えていません』って。まあ頭が真っ白になったんでしょうけど、如何せん他人事で情けない。
自分が彼の立場でもあなたのような人とつきあいたいとは思えませんね。
母親の無知を棚にあげて縋っても駄目ですよ。
感覚が違うんだと思うんで、何を言っても平行線かなあ。
彼が離れたいなら解放してあげたほうがいいと思います。
結婚なんてしたら俺、殺される、、くらいショックだったんだと思う。
仮に最悪の事態になっていたらどうするつもりだったの? そのすりつぶした海老を食べさせて。無知ではすみませんよ。
アレルギーを全く知らなかったなら百歩譲って仕方ない。
でも知っていて『甘えだ』と理解し出すなんてもってのほか。
そんな母親を曖昧に放置していたあなたも同罪です」

「その彼との結婚はあり得ないでしょう。
あなたは自分の親だからマヒしているようですが、あなたの母親はものすごく非常識で自己中心的で社会性のない変人です。
あなたは『古い人間、昔気質の人間だから』で済ませていますが、『古い人間』でも同じことをする人はそうはいません。
私の両親も昔気質の人ですが、あなたの母親のようなことは決してしません。
彼はあなたのために許せないという感情を押し殺しているんだと思います。
どうかこのまましつこく言い募らず、潔く身を引いてあげてください。
悪気なく自分を殺すかもしれない人と身内になるなんて不可能です。
もし結婚して子供が同じアレルギーを持っていたら、あなた、自分の母親と我が子をかかわらせることができますか?
『悪気はなかった。ごめんなさい』で許せますか?
訴えられなかっただけでも感謝して、きちんと慰謝料もお支払いして身を引いてください」

「あなた自身が『大したことない』って思っている証拠かと。昔、男性の結婚は『人生の墓場』とよく聞きましたが、彼にとってはシャレにならないなあ。結婚に夢見ていないで、現実を直視したほうがいいですよ」

 最後のコメントは確かにそうだと思う。誰が見てもトピ主一家が悪いに違いないが、トピ主がここに相談をしている時点で、心の奥底に、“母は悪気があってやったことじゃないんだから”という思いがあるのだ。もう彼はおそらくトピ主と別れることを決めているのではないか。しかし無理解や無知は人を殺すことがあるのだとつくづく知ったトピであった。トピ主レスはない。修羅場を迎えているのだろうか……

ブログウォッチャー京子

1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

twitter:@watcherkyoko

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