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長瀬智也が演じ分けてきた“陰のある男”と“愛すべきバカ”。両極どちらもハマる稀有な存在感!

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warp MAGAZINE JAPAN 2018年 7月号

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 4月、山口達也(46)の起こした事件で芸能界は騒然となった。TOKIOとして活動してきた面々は謝罪会見を開き、出演作品の放送も危ぶまれたが、騒動から一カ月が経過し、落ち着きを取り戻している。TOKIOの末っ子・長瀬智也(39)も、主演映画『空飛ぶタイヤ』の公開を615日に控え、宣伝のためバラエティ番組や雑誌に出ずっぱりだ。これらの撮影・収録は、騒動以前~最中にも進められていたのだろうと思うと、長瀬の心労は大きかったことだろう。

 映画『空飛ぶタイヤ』の原作は、『半沢直樹』(2013年、TBS系)の原作小説でも有名な池井戸潤による同名小説で、2000年に発覚した三菱リコール隠し事件をモデルにした作品。長瀬が演じるのは、トレーラーの脱輪事故で整備不良を疑われバッシングを浴びながらも大企業に立ち向かう運送会社社長・赤松徳郎で、ディーンフジオカ、高橋一生、深田恭子らが共演した。長瀬が映画に出演するのは2016年の『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』以来2年ぶりだ。

 これまで意外にも映画出演の機会は少なかった長瀬智也だが、他方、テレビドラマでは数多くの作品に出演し、高校生、不良、ミュージシャン、医師、ヤクザ、刑事、相場師、詐欺師などありとあらゆる職業・キャラクターを演じてきた。がっしりした体格と迫力ある顔立ち、強烈な存在感は10代から変わらない。ブレイクしたのも若く、18歳で主演ドラマがヒットしたのだから、今思えばすごいことだ。

 10代~20歳前後までの代表作を振り返ると、18歳で主演した『白線流し』(1995年、フジテレビ系)では天涯孤独な高校生、『Days』(1998年、フジテレビ系)ではあてもなく上京する新成人、『ラブとエロス』では異母兄の恋人である年上女性に濃密な愛を注ぎ、『砂の上の恋人たち』(1999年、フジテレビ系)では恋人を事故で亡くし加害者女性と恋に落ちる設計士志望の男性と、複雑な生い立ちや過去を持つシリアスな役どころが多かった。昨年出演した『ごめん、愛してる』(TBS系)は、長瀬智也にとって約20年ぶりとなるラブストーリーだったが、長瀬自身「もともと青春ドラマとか、親に恵まれない男の子の役ばかりやっていた」と懐かしんでいた。10代から彼のドラマを視聴していたファンにとっても感慨深かったことだろう。

 新天地を開拓したのは、マザコン気味の不良を演じた石田衣良原作・宮藤官九郎脚本の『池袋ウエストゲートパーク』(2000年、TBS系)だろうか。その後は、コメディの才能も開花する。クールな売れっ子ミュージシャンだが素顔はダサい男が婿入りする『ムコ殿』(2001年・2003年、フジテレビ系)、不良上がりの研修医役の『ハンドク!!!』(2001年、TBS系)、学力が低すぎるため高校に入学するハメになったヤクザ役の『マイ☆ボス マイヒーロー』(2006年、日本テレビ系)、優秀だが恋愛体質な刑事役の『うぬぼれ刑事』(2010年、TBS系)など、コメディタッチの作品でも多くのインパクトを与えた。それぞれに個性が強くてクセのあるキャラクターだが、どれもハマり役で、その多くが“愛すべきバカ”だった。

 さて、では間もなく公開される『空飛ぶタイヤ』で長瀬が演じる赤松は、どちらのパターンか。答えは、実直に働く父親、だ。真面目に仕事をして妻子の待つ家庭に帰るという、むしろ現実にも存在するような“普通の男”であり、生身の人間ともいえる。

 そのような役柄を演じるにあたって長瀬は<まず、リアルな演技を意識しましたね。社会や人間関係を描いた作品なので、リアリティが何よりも大事でした>(LDK 20187月号)、<赤松が経験するシビアな出来事を一つ一つ想像し、赤松になった自分がどう思ってどう行動するか?ということだけを考えました>(横浜ウォーカー2018年初夏号)、<役にあまり癖をつけたくなかったので、現実世界で生きているさまざまな人に当てはまる部分があったらいいなと思い、撮影に望んでいましたね>(with 20187月号)と、とことん“リアル”を追求する役作りに励んだという。

 その一方で、<人間はどうしても大人になっても社会に向かって生きていかなければならない生き物。今回の映画のように、やるせないことが起きて、社会のいい部分も悪い部分も見ることになる>(Oggi 20187月号)、<僕自身も仕事をする中『社会とはこういうものなんだ』と半ば流されてしまっている時もあります。でも、誠実さを捨ててしまったら、いつか何かが起こった時にボロが出てしまうはず>(横浜ウォーカー2018年初夏号)、と、4月の騒動を連想させるような、また酸いも甘いも噛み分けてきた大人の男としての一面も除かせている。

 『空飛ぶタイヤ』では仕事で窮地に追い込まれ、社会の不条理と対峙する“普通の男”を長瀬智也はどう表現したのか。615日の公開が待ち遠しい。

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