歌手・広瀬香美の独立騒動に続き、つい先日独立したばかりの女優・満島ひかりのクドカン舞台“降板騒動”をスポーツニッポンが報じた。芸能マネージャーが芸能ニュースの裏側をちょっぴり教えちゃう本連載。続いてお送りする第2回も、前回に続き、所属プロダクションからの移籍・独立問題について解説を加えていただきます!
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さてさて、前回に続き、芸能人の独立・移籍にまつわるトラブルについて、我々マネージャーからはどういうふうに見えているか、語っていきましょう。
前回お話しした能年玲奈みたいに事務所と揉めたケースではなく、「仕事も順調でノリにノッているのになぜ移籍……?」というケースもたまにありますよね。古くは根津甚八、樋口可南子、椎名桔平といった本格派俳優を多く輩出してきた、ユマニテという役者系の事務所を、この3月に突然独立した満島ひかりのケースなんかは、その典型でしょう。
彼女はもともと、いまはシンガー&ダンサーとして大活躍中の三浦大知も所属していたアイドルグループ・Folderのメンバーでしたが、アイドル路線に限界を感じ、俳優の道を進むべく2009年にユマニテに移籍しました。
そしてその2009年、当時インディーズ映画の雄として頭角を現しつつあった映画監督・園子温の『愛のむきだし』ヒロインに抜擢され、その後も映画『悪人』(2010年)やドラマ『モテキ』(2010年、テレビ東京系)といった話題作で印象的な演技を見せ、あっという間に業界から要注目女優に。その後、彼女の主演映画『川の底からこんにちは』(2010年)を監督した石井裕也と電撃結婚し、世間を騒がせます。
園子温監督から言い寄られて一時期お付き合いしていたという根強い噂があったりとか、石井裕也監督との結婚もかなり突然だったりとか、彼女はもともと割と奔放な感じの女優さんだったので、今回のユマニテからの独立騒動も、「まあ、そういうこともあるのかなあ」とは思いました。けれど、“芸能界ど真ん中”な感じでイケイケのプロダクションであるレプロとは違って、ユマニテの社長さんは芸術的なセンスにあふれた穏やかな方だし、満島ひかりさんには実にぴったりな事務所だと思っていたので、やっぱりちょっとびっくり。そして残念だなあという思いはありますね。
でも、一方で強く思うのは、満島ひかりくらいの演技力とバリューがあれば、もはやどの事務所に所属するかなんて一切関係なくて、あとは優秀なマネージャーがいれば、いい仕事はいくらでもできちゃうんですよね。地上波テレビにはなかなか出られなくなったとはいえ、敏腕マネージャー・飯島三智女史のもと、ジャニーズ事務所を離れてもそれなりに活躍できている稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の“元SMAP”三人衆とかね。
欧米のエンタメ界ではそもそも、仕事をアレンジメントするのは「エージェント」、身の回りのことを処理するのは「マネージャー」、お金のことは「税理士」というのが一般的で、そのすべてをひとまとめにしてタレントを抱えてしまう「芸能事務所」というシステムは、日本独特なものなんですよね。敏腕エージェントがいて、優秀な税理士がいれば、残りの身の回りのことは親戚とか仲のいい友人に任せちゃう、みたいなやり方は、これから日本でも普通になってくるかもしれないと思っています。だって今は、活躍の場がテレビだけではなくなってきているし、タレント本人からの自己発信は、所属プロや大手メディアに頼らなくても、SNSで簡単にできてしまう時代が到来していますからね。
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