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『This is Japan』はなぜ炎上したか? 日本社会という“問題”

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『This is Japan』動画

 チャイルディッシュ・ガンビーノ『This is America』のパロディ動画『This is Japan』をツイッター上に投稿した若手ダンスチーム・Alaventaが炎上し、ツイッターのトレンドに上がるほどの騒ぎとなっている(該当の動画は現在、メンバーそれぞれのアカウントから削除されている)。彼らはなぜ炎上したのか? それは、『This is Japan』の替え歌の歌詞が、チャイルディッシュ・ガンビーノによる元曲で歌われていた切実な訴え(詳しくは後述)とは、あまりにもかけ離れたものだったからだ。『This is Japan』ではこのように歌われていた。

This is Japan/おもてなし/おもてなし/写真パシャリ/This is Japan/スタバでストーリー/外でもストーリー/インスタ映え/This is Japan/お寿司よりも/外でケーキ/マジで卍/This is Japan/おもてなし/インスタ映え/はいチーズ>

 これに対し、ヒップホップ/R&B系音楽サイト「bmr」編集長で音楽評論家の丸屋九兵衛氏は、<問題意識の欠片も持ちえない低脳ぶりをさらけだすことによって、逆に日本が抱える問題の大きさをあぶり出している逸品。More stupid than childish.>と、痛烈な皮肉をツイッター上に投稿するなどしている。

 チャイルディッシュ・ガンビーノ『This is America』は、先月の5日に発表されるやいなや世界中でバズった楽曲だ。映像作家のヒロ・ムライが監督した衝撃的なミュージックビデオ(「おばあちゃんが言ってた、金を稼ぐのよ」と楽しそうに歌う黒人ゴスペルコーラス隊をチャイルディッシュ・ガンビーノがマシンガンで撃つなどの描写がある)も相まって大変な話題となり、YouTube では現在23000万回も再生されている。

 この『This is America』は、現在のアメリカにはびこっている、黒人差別や警官による暴力の問題、銃社会の問題について鋭くえぐっている。チャイルディッシュ・ガンビーノは『This is America』のなかで<Look at how I’m livin’ nowPolice be trippin’ now(俺の暮らしを見てみろよ/警察は今イカれてる)><Guns in my areaI got the strapI gotta carry ’em(近所には銃がはびこっている/だから俺は銃を持って/携帯しなきゃならない)>と歌い、黒人にとって現在のアメリカ社会がいかに危険かを示し、ただ生きているだけでも暴力の恐怖にさらされなくてはならないものなのかと訴えている。そのなかで何度も歌われる<This is America>というフレーズのリフレインはとても重く響く。そんな社会状況でも、「これがアメリカ」なのだという絶望である。

 これに影響を受けたナイジェリアの人気ラッパーFalzは、先月25日に『This is Nigeria』という替え歌とパロディビデオを発表。そこでは、公権力による一般市民への暴力、警察の腐敗、女性に対する性的搾取や暴力の問題、麻薬のまん延に対する警鐘などが歌われ、『This is America』と同じアプローチで、ナイジェリア国内で巻き起こる社会的な問題をえぐっていた。

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