『This is Japan』はなぜ炎上したか? 日本社会という“問題”

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 そこに来ての『This is Japan』である。この曲が『This is Nigeria』の流れを見て製作されたパロディだとしたら、「インスタ映え」「マジ卍」といった流行について“のみ”を歌うことで、逆に、軽薄で能天気な日本社会を批判しているという意図を読みとることもできるのかもしれない。ネット上では実際にそのような指摘もなくはないが、おそらくそれは深読みのし過ぎだろう。

 というのも、現在の日本には『This is Japan』の歌詞にできるような社会問題がたくさんあるからだ。45月の出来事だけでも、財務省の福田淳一・前事務次官のセクハラ発言を契機にして議論が巻き起こった女性差別の問題、日本大学アメフト部に象徴的なパワハラの問題、過重労働に関する議論が進んでいないのにも関わらず導入されようとしている高度プロフェッショナル制度、森友・加計の問題を「なかったこと」にするため政治家や官僚が嘘に嘘を塗り重ねている状況など、『This is Japan』と呼べそうなネタは山ほどある。

 ただ、音楽プロデューサー・トラックメーカーのtofubeats氏もツイッターで<みんなしてそんなクサさんでもええんちゃうの>とつぶやいていたが、ネット上で寄ってたかってAlaventaを叩きまくるリンチ状態になっていることもまた、現代日本の抱える“問題”のひとつではある。Alaventaにはチャイルディッシュ・ガンビーノの元曲を愚弄するといった意図はなく、ただ、『This is America』が生まれた社会的背景や文脈を理解していなかっただけだ(それはそれで悲しいことだが)。それをここまで叩くこともないように思ってしまうのである。

(倉野尾 実)

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