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東京都が今月5日、受動喫煙防止条例案を公表した。国の健康増進法改正案よりも規制対象の広い条例案で、6月12日に開かれる東京都議会で成立する可能性が高いとされている。
この条例は「屋内での受動喫煙による健康影響を未然に防止し、誰もが快適に過ごせる街を実現する」ことを目的としており、健康影響を受けやすいとされる子どもだけでなく、受動喫煙を防ぎにくい立場にいる従業員をも、受動喫煙から守る対策を講じている。
条例案では、基本的に、多数の者が利用する施設(老人福祉施設、運動施設、ホテル、事務所、病院、児童福祉施設、行政機関、飲食店、幼稚園など)は原則的に禁煙とされている。その上で、飲食店については「①従業員がいない、②客席面積100㎡以下、③資本金5千万円以下、④事業者が喫煙可を選択」の4つの条件を満たす場合は、喫煙可能となる。国の健康増進法改正案とほど同じ条件だが、「従業員がいない」という条件は東京都オリジナルのものになっている。
喫煙禁止場所で喫煙し、注意や退出命令に従わないものや、施設の改善命令に従わないものなどには、5万円以下の罰則が下る。国の改正案では、喫煙者に対し30万円以下、施設管理者に対し50万円以下の罰則が設けられており、この点については国の改正案の方が厳しい。
なお都の条例案では「紙巻きたばこ」が対象とされており、「かみたばこ」や「かぎたばこ」は規制対象外だ。一方、現在普及しつつある「加熱式たばこ」については、規制対象ではあるものの、健康影響が明らかになっていないため、行政処分や罰則は行わないとしている。加熱式タバコは、紙巻きたばこ同様に周囲の人間に健康被害を及ぼす可能性が指摘されつつあり、今回罰則対象から外れることによって、誤解を生じさせるのではないかという懸念の声も聞かれる。
国の健康増進法改正案は今国会での成立する目途がたっていない。都議会でも本条例については、都内8割の飲食店が規制対象になるということもあり、飲食業界からの強い反発がある。一方、小池百合子東京都知事は6月中の条例制定に意欲を示しており、国に先駆け、東京都で条例が制定される可能性も高いと見られている。