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山田孝之が「20代前半は人に会いたくなかった」と昔の心の闇を告白、病んでいた00年代

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 というのも、そのような鬱々とした時代は、自分自身で役を選ぶことができるようになって終わりを迎えるからだ。彼は前掲『21世紀深夜ドラマ読本』のなかで、<20代前半から半ばぐらいの、深かったのは45年もあいだですね。そこからいろいろと仕事の状態が変わってきて、面白いことに参加させてもらえるようになって、自分から動けるようになって、それが形になってきて、今はすごい楽しめるようになっていますね>と語っているが、そのように能動的に仕事を選ぶことができる時代の始まりが、三池崇史が監督したヤンキーを主人公にした映画『クローズZERO』(2007年)だった。「Quick Japan」(太田出版)201010月号では、『クローズZERO』出演にまつわる経緯をこのように語っている。

<たまたま組織変更もあって。で、初めて自分で選んだ作品が『クローズZERO』だったんです。以前の体制だったらたぶんやらせてもらえなかった>

<「役者としてステップアップするためには、いろいろな役で、いろいろな作品に出ることが必要だからやりたいっす」と言っても、なんだかんだでやれなかった。『クローズZERO』でようやくチャンスが回ってきて、これは賭けだなと。ここでぶちかませば、絶対に仕事の幅が広がるな、と>

 喧嘩に明け暮れる不良高校生を描く『クローズZERO』のなかで山田は、主人公・滝谷源治(小栗旬)の最大のライバルとなる芹沢多摩雄を怪演。作品ラストにある小栗旬とのタイマンシーンなどは、それまでどこか「アイドル俳優」的な受容のされ方をしてきた山田孝之という役者のイメージを根本から変えるものだった。

 それ以降の彼は、『闇金ウシジマくん』シリーズ(2010年スタート/TBS)のようなエンターテインメント作品でのコワモテ役から、『凶悪』(2013年)のような実話をもとにつくられた硬質な社会派ドラマ、さらには、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(2011年スタート/テレビ東京)のようなコメディーまで、日本の映画やドラマには欠かせないカメレオン俳優へと急成長していく。

 こういった経緯を経たうえで、約10年ぶりの長澤まさみとの共演、そして、ラブストーリー復帰と考えると、『50回目のファーストキス』は色々な意味で感慨深い作品でもあるのである。

(白石 広)

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