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東京都目黒区で虐待を受けた5歳の女児が死亡した事件で、警察庁が今月6日、母親・船戸優里容疑者と傷害罪で起訴されている父親の船戸雄大容疑者を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕したことを発表した。
今年3月に発覚したこの事件では、雄大容疑者が日常的に女児を殴打するなどの暴行していたことを認めている。女児は事件発覚までに数回、児童相談所で一時保護されている。一度目は2016年12月、自宅前で唇から血を流した状態で放置されていた女児を一時保護している。
2017年2月に一時保護が解除された翌3月に、またも外に放置されていた女児を一時保護。どちらも保護したのは香川県の児童相談所だ。
なお香川県警は2017年2月と5月に、女児への傷害容疑で雄大容疑者を書類送検していたものの、いずれも不起訴処分となっている。
そして今年1月、家族が東京都目黒区に引っ越すことになり、目黒区を管轄する品川児童相談所が女児の一時保護を引き継ぐことになる。しかし優里容疑者が訪問してきた児童相談所の職員と女児との面会を拒否。児童相談所も、今後の家族と関係性を築く必要があると判断していた。
小学校入学説明会でも女児との面会のために職員が参加したが、優里容疑者のみが説明会に参加しており、女児に会うことができなかった。そして3月2日に、搬送先の病院で女児が亡くなってしまう。
事件発覚後の調べで、2人が1月下旬頃から女児に十分な食事を与えていなかったことや、2月下旬には嘔吐などの症状が出ていたにも関わらず、病院に連れて行かなかったことが判明している。女児の死因は、低栄養状態で起きた肺炎による敗血症の可能性が指摘されている。
6日の警察庁の発表の際には、自宅アパートで発見されたノートの一部が読み上げられた。内容は「もうおなじことはしません」「あそぶってあほみたいだからやめる」「ゆるして」「おねがいします」と、5歳の女児が両親に許しを乞うものだった。
逮捕された両親の悪質さは言語道断だが、一方で、なぜ社会の側が女児を救えなかったのか、という課題がある。女児は少なくとも3度、児童相談所と繋がっている。児童虐待を巡る問題には、法律整備の必要などが長くから指摘されている。例えば、児童相談所の警察の連携は一部の件で行われているものの、全都道府県で情報共有等がされているわけではない。
自分たちのことを自分たちだけで済ませられる家族ばかりというわけではない。社会の側がいかに支援を行うか、そして悲惨な事件を起こさないための法・環境整備をしなければならない。