政治・社会

かつて受けた数々のセクハラ。私に加害してきた人は、どんな心境だったのか?

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石川優実、「加害者」について考えます!

 こんにちは。グラビア女優の石川優実です。2017年末に#Metooについての記事を書き、みずからの性暴力被害について向き合ったことをきっかけに「男女平等」というものについて、「人権」というものについて、「ジェンダー」とは、「フェミニズム」とは、そのようなものに興味を持ち始めました。

 この連載では、いままで無知だった私がさまざまな専門家の方々にお話をうかがい、どうすれば傷つく人たちが減るのか、被害が減るのか、すべての人が自由に安全に生きることができるのかを考えます。

 今回は『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)の著者で、大森榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳さんにお話をうかがいました。斉藤さんは、同クリニックで13年前から性犯罪加害者再発防止プログラムの実践・研究・啓発活動に取り組んでいます。

 私が斉藤さんにお話をうかがいたいと思ったのは、今年3月、作家・中村うさぎさんとともに開催された「現代人が抱えるさまざまな依存」という対談イベントに参加したことがきっかけです。この対談のなかで斉藤さんは、「痴漢をくり返す加害者には、依存症としての視点が必要」とお話しされました。

 実は私は、これまでいろいろなものに依存してきました。タバコ、ギャンブル、アルコール。アルコール依存症外来に行ったこともあります。いまはタバコもギャンブルもやめることができましたが、依存の最中は本当に苦しい毎日でした。

 そこで、痴漢などの性犯罪加害者が抱える問題と、私が抱えてきた問題とのあいだに繋がるものがあると感じました。

 私に加害してきた人たちは、みんなあまり幸せそうには見えなかったのです。

 お金を過剰に求めたり、自分をすごい人間だと見せたがったり……

 もちろん、どんな理由があれ性犯罪を許してはいけません。ただ依存症という言葉を聞いて、私に加害してきた人たちを心の底から憎めない、そんな複雑な気持ちが自分のなかにあるのもたしかでした。

性加害と依存症との関係

 いったい彼らは、どんな気持ちで加害をくり返していたのだろう。もしもあれが「依存症のひとつ」ならば、本人もつらいだろうし自分を責めたところで抜け出せない。依存症から抜け出すむずかしさは、私も知っています。そんな負のループに陥っていたのだろうか……

 何度も言いますが、依存症だろうと性犯罪をしていい訳はありません。それは大前提として、加害者はいったいどんな心のメカニズムだったのか、どうしても知りたくなりました。

「加害者とは」「依存症とは」ーーこのふたつが大きなテーマとなった取材でした。性暴力についてだけではなく、依存症で苦しんでいる方にも読んでいただけたらうれしいです。

*   *   *

ーー中村うさぎさんとの対談で、性加害と依存症との関係についてのお話がありましたね。

斉藤章佳さん(以下、斉藤):痴漢をくり返している人には嗜癖行動、つまりアディクション(依存)の側面がたしかにあります。けれど、そのほかに「性差別に基づいた認知の歪み」「加害」という側面もあり、この三つの特徴があると考えています。したがってアルコールや薬物の依存症とは分けて考えなければなりません。性暴力の背景には必ず被害者が存在するからです。

「性暴力や性犯罪は、依存症である」というだけの文章だと誤解を与えかねないので、むずかしいですね。そうはいっても「反復している」「衝動の制御ができない」「強迫的で貪欲的」「意志の力でコントロールできない」「行為のエスカレーション」など、依存症の特徴も多く見られるので、その枠組みで捉える必要もあります。そのほうが、多くの人にわかりやすく理解してもらえるとも考えています。

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石川優実

1987年1月1日生まれのグラビア女優。
18歳より芸能活動開始。イメージDVD30本リリース。2014年にふみふみこ原作映画「女の穴」にて初主演、同時に写真集発売、2015年には高樹澪主演「誘惑は嵐の夜に」にて準主演。
以前から男女の性の認識の違いについて疑問を持っており、ブログで性やセックスについて積極的に発信していた。2017年末に自身が受けた芸能活動での性暴力を#metooとして告白し話題に。以降、性暴力や人権・男女平等などについて勉強中。本当の意味で「男女」という違いをより理解し、みんなが幸せに生きられるように活動している。

twitter:@ishikawa_yumi

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