6.12米朝首脳会談にNHKが100人規模を投入する理由

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2018年6月11日、米朝首脳会談を翌日にひかえ、会談開催国であるシンガポールのリー・シェンロン首相と会談する、ドナルド・トランプ米大統領。(写真:AP/アフロ)

 2018年6月12日、シンガポールに世界の注目が集まる。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と米国のトランプ大統領が、シンガポール南部セントーサ島の「カペラホテル」を舞台に史上初の米朝首脳会談を行うからだ。歴史的な会談とあって、会談を報じるメディア側も熱を帯びている。なかでも、日本メディアの力の入れ具合は世界のメディアの中でも群を抜いているという。

「歴史的な会談を報じようと、テレビ、新聞、通信社が大量の記者やカメラマンをシンガポール入りさせています。特に力を入れているのはNHKで、キャスターやスタッフなども含めて約100人を現地入りさせる予定。両首脳が到着するチャンギ国際空港から、両首脳が宿泊するホテル、首脳会談会場のカペラホテルなど、シンガポール国内で会談と絡むことが予想されるありとあらゆる場所に“張り番”を配置するらしいですよ。日本国内での重大事件の取材体制に匹敵するような規模で、経費が少ない新聞社などは『さすが“国営放送”』と溜め息をついていますね(笑)」(全国紙国際部記者)

 シンガポールの地元紙によると、シンガポール政府に取材登録した記者は全2500人超。世界的な報道機関として知られるイギリスのBBC放送でさえ登録者数は約80人というから、約100人を送り込むNHKの規模の大きさがうかがいしれよう。

 ちなみに、大手マスコミでシンガポールに支局を置いているのは、朝日、産経、日経の3紙、共同、時事の2通信社、NHKのテレビ1局だ。NHK以外のメディアも当然現地の特派員だけでは人員が足りないので、ソウルやワシントンなどの海外支局、そして日本の本社から応援人員がシンガポール入りしているという。

 このように各メディアが万全の体制を敷く米朝首脳会談だが、一度、全メディアが“冷や汗”をかいた局面があったという。いわずと知れた、“会談中止騒動”である。

「5月24日、トランプ大統領が突如『会談は中止する』と宣言した。これには世界中のメディアが驚いたが、とりわけ驚いたのは大手マスコミの編集幹部でしょう。というのも、5月10日にトランプ氏が『6.12シンガポールで米朝首脳会談』とツイッターで明らかにして以降、各メディアは『世界中からメディアが殺到して宿泊施設が枯渇するはず』と予想、一気にホテル確保に走った。メディアによっては何十室も押さえていたところさえありましたが、予約時に『キャンセルは絶対に不可』と足元を見た条件を付けたホテルも少なくなかったんです。なので、トランプ大統領の“中止宣言”の直後には、『うちの記者に早めの夏休みを取らせて、シンガポール旅行をさせてホテル代は自腹で払ってもらうか……』なんて声もあったほど(笑)」(前述の全国紙国際部記者)

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