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「おにぎりでいいよ」にイラッとするのは“家事へのこだわり”のせい?

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Thinstock/Photo by Alegrial

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 68日放送の『ノンストップ!』(フジテレビ系)に大神いずみが出演。過去に夫(元木大介)から食事について「おにぎりでいいよ」と言われたことにイラッとしたと発言した。おにぎりを握るにもそれなりの手間がかかるため、「でいいよ」と言われることに腹が立ったのだという。番組を見ていたツイッターユーザーからも「“おにぎりがいい”ならムカつかないのに」「食べたいなら自分で作れ」など、大神同様、夫の配慮に欠けた言葉にイライラさせられた女性は少なくないようだ。同様の案件に「冷やし中華でいいよ」「そうめんでいいよ」「親子丼でいいよ」などが挙げられる。

 家族の食べたいものを手作りで用意するのが日本家庭の慣習のようになっているため、家族の要求も、それに応える側(主に主婦)のハードルも、やや高くなりすぎているのかもしれない。また、母親が家事を頑張っていたという人ほど、自分自身に課す家事や結婚相手に求める家事のレベルが高くなりがちではないだろうか。

 また、昔、専業主婦の割合が高かった時代は、家事にこだわりを持ち時間を割く女性も多かっただろう。母親のハイクオリティな家事を見て育った男性が、「お袋はちゃんと家事してたぞ」「食洗機なんか使わないで手で洗えよ」などと、働く妻に母親と同等の家事を求めてしまうケースもよく聞く。女性自身も、自分の母親と同じように「手作りのごはん」「いつも綺麗に片付いた家」を実行しようとして自縄自縛になってしまうことがあるだろう。

 総務省の調査によると、女性が炊事・掃除・洗濯にかける平均時間は、2011年だと2時間32分(男性は18分)で、1996年では2時間37分(男性は10分)だった。働き方も変わり、昔に比べて家電や家事代行サービスが充実しているにもかかわらず、家事時間が15年前とほとんど変わっていない。手間隙かけすぎである。

 内閣府が2016年に行った調査では、18歳以上の女性のうち4割も「妻は家庭を守るべきだ」と回答。リンナイ株式会社が今年、共働きの既婚の男女を対象に行った「家事代行サービスの利用の有無」に関する調査によると、アメリカでは85%が家事代行サービスを利用しているにもかかわらず、日本ではわずか12%という結果になった。つまり、私たち日本人は、「他人の力を借りず自分の力で家庭を守らなければいけない」というこだわりを刷り込まれてしまっているように思われる。

 冒頭に記した「おにぎりでいいよ」の例にしても、きちんと美味しいおにぎりを作ろうとすれば手間がかかるので、そう言われたほうは「手間が増えることも知らないで…」とイラッとしてしまうのだろう。たとえば「おにぎりは面倒だからふりかけごはんでいいね」という共通認識を持てれば、そのすれ違いはなくせる。

 人間が手間隙かけて身の回りを整えることを「愛情」と捉えるのも、またひとつの文化だが、ロボット掃除機や食器洗い乾燥機など、家事を効率化できる家電や家事代行サービスを積極的に取り入れることは「愛情の欠如」とイコールではない。食事も「スーパーで買ってきたお惣菜で夕食」が味気ないというのは思い込みに過ぎないのではないか。家事をちゃんとやる“こだわり”ではなく、家事を楽する“こだわり”を持って、そのぶん仕事を頑張ったり、あるいはダラダラごろごろしたりしていい。

 家事時間の極端に短い男性も、妻にばかり家事労働をさせているとしたら「完璧など求めない」、そもそも「自分の要求が全部通ると思わない」ことだろう。前掲の総務省調査結果にもあるように、男性が家事にかける平均時間は10~20分。なんなら女性もその程度でいいのかもしれないが、それでは家庭の平穏が保たれないというのなら、男性の分担を増やすことが合理的だ。リンナイ株式会社の調査によると、日本で「夫婦で家事を分担している」と回答した共働きの既婚の男女の割合は56%。アメリカは96%、ドイツは77%と他国と比べてかなり低い状況にある。

 夫の家事への無理解を嘆くよりも、また、妻の家事クオリティに愚痴をこぼすよりも、お互いにこだわりを捨てたほうが楽になれるのではないだろうか。

宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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