『モンテ・クリスト伯』緊迫の最終回…伯爵の復讐計画は3人を殺すか

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フジテレビ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』 オフィシャルサイトより

フジテレビ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』 オフィシャルサイトより

 6月14日、ディーン・フジオカ(37)主演ドラマ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)の最終回2時間スペシャルが放送される。この作品は平均視聴率こそ一桁台と高くはなかったが、毎週夢中になっている視聴者は少なくなかったのではないか。ツッコミどころ満載でありながら、説得力のある演出。ハイスピードの展開で飽きさせず、モンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)の復讐計画はことごとく視聴者の予想を裏切る緻密さだった。登場人物は皆愚かで、いたずらな人間賛美や感動を煽るような演出もない。

 数字だけでいえば、初回視聴率は5.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)と“爆死”状態であった『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』。フジテレビ「木曜劇場」枠は数字の落ち込みがひどいが、この数字は2017年7月期のドラマ『セシルのもくろみ』と同じ。『セシルのもくろみ』はさらに落ち続け、全話平均4.5%を記録した。だが、『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』は、初回よりも視聴率を落とさずに最終回まで到達した。6月7日放送の第8話は7.4%とこれまで最高の数字を記録しており、視聴者の注目が回を進めるごとに高まっていることがわかる。

 前述したように演出や脚本が作品を面白くしていることは間違いないのだが、役者陣の演技も一人残らず素晴らしい。お遊戯ではなく、作りこまれた「ドラマ」を観賞していると実感できる。

 天真爛漫な漁師から、裏切りと拷問に遭い冷酷非道な復讐に走った男を演じたディーン・フジオカは、ミステリアスな存在感が役にぴたりとマッチした。思えば、第1話はこれでもかというほど明るくベタな演出で幕を開けた。15年前、静岡の田舎にある港町。人当たりが良く明るい漁師の青年・柴門暖(ディーン)は、喫茶店を切り盛りする活発な女性・すみれ(山本美月/26)との結婚を控え、幸せな生活を送っていた。すみれへのプロポーズが成功し無邪気に大喜びする暖、花嫁衣裳のすみれを見て「ばんざーい!」とリアクションするなど、田舎にだってこんな謎の好青年いないだろうというほどだったが、だからこそ無実の罪を着せられ拷問に遭った彼の絶望が際立つ。

 暖は脱獄してモンテ・クリスト・真海と名を変えて以降、自分を陥れた3人の男たちが15年間何をしてきたかを徹底的に調べ上げ、悪事や家族関係まで完璧に把握。直接手を下すことなく、遠隔操作によって彼らの幸福な生活をじわじわと破壊していく。

 真海はまるで貴族のように上品な立ち振る舞いで、復讐の対象である南条や神楽に近づいていった。浅黒く日焼けした田舎の漁師役には違和感を禁じえなかったディーンだが、上品、聡明、そして何を考えているのかわからない雰囲気の真海は、まさにディーン・フジオカにぴったりだ。ディーン・フジオカはクランクアップ後に「本当に素敵な役に出会えたことを心から感謝しております」とコメントしており、確かな手ごたえを感じている様子だ。

 真海の復讐対象であった3人の男たちは、第8話ラストではまだ生きている。復讐計画がヒットし、人気役者の肩書きと妻子を失い(離婚)自殺をはかったものの、一命をとりとめピンピンしている南條。武闘派ヤミ金に拉致され倉庫に閉じ込められた神楽(築いた財産の剥奪と、暴力的な復讐が予想される)。そして、娘が毒を盛られ意識不明の重体となってはいるものの、未だ警察官僚の座に就いている入間。真海は一体、どのような形を復讐の完成と定めているのだろうか。南條、神楽、入間をただ殺害するだけではなく、絶望の淵に追いやったうえで命を奪うことだろうか。それとも、大切な人間を奪い、失意の余生を送らせることか……。

 いずれにしても、真海の作戦は今のところほぼ失敗していない。入間の娘に毒を盛ったことも、何らかの策略あってのことだと予想される。2時間という長尺で届けられる最終回、視聴者の野暮なツッコミが消え失せるほどの説得力で最後まで描ききってくれていることに期待したい。

(ボンゾ)

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