認知症の行方不明者が過去最高。超高齢社会の中で求められる新しい制度・支援

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Thinstock/Photo by Jacob Ammentorp Lund

 警察庁は今月14日、昨年、全国の警察に届け出の出された行方不明者に関する資料「平成29年における行方不明者の状況」を発表した。認知症の行方不明者が前年より431人多い15863人に上っており、統計を取り始めて2012年からの増加傾向は依然として続いている。

 行方不明者の届出受理数自体は過去10年間ほぼ横ばいで、平成29年は前年と同数の84850人だった。そのうち所在が確認された行方不明者は81946人で、多くが何らかの形で見つけられていることがわかる。認知症の行方不明者も同様で、過去に届け出があったものも含め、15166人の所在が昨年中に確認されている。死亡確認は470人、届け出が取り下げられる等の「その他」が125人だった。

 認知症の行方不明者の所在確認までの期間は、届け出受理当日が72.7%、27日後が26.6%、814日が0.3%となっており、認知症も含む行方不明者全体に比べると、早期に所在が確認されている。日が経てば経つほど確認される確率が大場に下がっていることを考えると、早い段階で行方不明者届を出すことが、所在確認の要となりそうだ。

 警察庁が今月7日に発表した資料によれば、平成29312日から平成30331日までに、認知機能検査を受けた2105477人のうち、認知症の恐れがあると判断され、免許の取り消し・停止を受けたものが1892人にまわっている。平成28年中が597人だったことを考えると大幅な増加だ(齢者の認知症による免許取消1800人超。自主返納者も42万人超まで増)。↑「高」もハイパーリンクを。

 超高齢化社会の中で、認知症に関係する問題への対策は喫緊の課題となっている。現在、認知症患者が事故を起こし、家族らが賠償を求められる場合に備えて、一部の自治体で、支援事業を行う動きが広まっている。政府でも認知症の人による事故等への公的補償について検討されたこともあった。

 しかし「責任能力がなく、また監督責任者がない場合の被害者救済のあり方については、認知症の方に限らず、責任能力と賠償責任に関する法制上の課題等も含めた議論が必要である。また、責任能力に関わりなく幅広く損害をカバーする仕組みについては生活のあらゆる場面が想定される中で、その範囲、財源、モラルハザードへの対応も含め幅広い議論が必要であり、直ちに新たな制度的な対応を行うことは難しいと考えられる」として、「必要に応じて検討する」と結論が下されていた。現在、その必要性はいっそう高まっているはずだが、国会会期中に議論を深めることはできるだろうか。

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