女性の割合が低いのは議員だけではない。2020年30%目標は達成できるのか

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 昨年発表された「世界経済フォーラム」による「ジェンダーギャップ指数」で、日本が過去最低を更新し、世界144位中114位だったことは記憶に新しい。「経済参画」「教育」「健康」「政治参画」4つの指数の中でも、特に「政治参画」の指数が非常に低いことが注目されていたが、日本の国会議員に占める女性の割合は衆議院で10.1%、参議院で20.7%と、他国と比較して低いままだ。政策や方針を決定する際にかかわるのは国会議員だけではない。国家公務員の地方機関課長・本省課長補佐相当職、省課室長相当職および指定職相当に占める女性の割合も、それぞれ10.1%、4.4%および3.8%と議員以上に割合が低いものになっている。

 今月公表された『男女共同参画白書 平成30年度版』によれば、この惨状は地方でも変わりがなく、地方議会に占める女性の割合は、特別区議会が27.1%、政令指定都市の市議会は17.2%、市議会全体では14.4%程度と、もっとも多い特別区議会でも30%を超えていないのが現状だ。地方公務員で要職についている女性の割合も、国家公務員で見られた傾向と変わりはない。

 先月23日、国・地方の議会選挙で男女の候補者数を均等にするよう政党に求める「候補者男女均等法」が施行された。この法律は、あくまで「努力義務規定」であって「義務」ではないため、ある政党の候補者の比率が男女で非常に偏っていても法律違反にはならない。だが努力を求める法律は施行されているので、今後の選挙では、候補者の男女比が政党の「やる気」をはかる指標のひとつにはなるだろう。

 「候補者男女均等法」が今後の選挙でなんらかの効力を発揮する可能性もなくはない。しかし国家公務員・地方公務員の女性の割合については直接的には効力を発揮しないだろう。候補者の男女比をほぼ均等にしたからといって社会に偏在する男女の非対称の問題が解決するわけではない。課題はまだまだ山積みだ。

 例えば『男女共同参画白書』には、司法分野における女性の割合が、「平成2812月現在、裁判官21.3%、29年現在、検察官(検事)23.5%、弁護士18.4%」とある。白書には「女性の割合は着実に増加」とあるが、それでも最も大きい検察官でも3割を切っている。医師に関しても、平成28年で21.1%と低いままだ。

 また最近では、福田淳一元財務事務次官のセクハラ問題について、麻生太郎財務大臣が「番記者を男性にかえればいい」と発言し、「女性記者ではセクハラされる/セクハラされても仕方ない」ということかと批判を浴びていた。メディアにおける女性の割合については、平成29年で、新聞・通信社の管理職が6.1%。新聞・通信社の記者で19.4%と他の分野と同様に低くなっている。

 麻生大臣の発言は、ただでさえ数の少ない女性記者の活躍の場を奪いかねないものだろう。先日、政府が発表した「セクハラ緊急対策」に対し、「女性記者が取材現場から排除される可能性がある」という批判が起きていることを伝えたが(女性記者の排除に繋がる懸念がある、政府の「セクハラ緊急対策」)、こうした発言がなされていたことを考えると、本当に女性記者を取材現場から排除しようとしているのではないかと疑ってしまう。

 政府は社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする「202030%」の目標を掲げている。2018年現在、この目標を達成している分野はほぼない。

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