「子供を生み育てやすい国」は育休中の所得保障も充実、少子化対策に不可欠な社会保障とは

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Thinstock/Photo by Rawpixel

 「平成30年版 少子化社会対策白書」が今月19日に閣議決定された。今年度の白書の特集は「人づくり革命」「子育てしやすい社会の実現に向けて」。特に後者では、日本、イギリス、フランス、スウェーデンの4カ国で行った調査が紹介されている。

 「子供を生み育てやすい国かどうか」という問いに対し「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた割合で日本は4カ国中最下位の46.6%。スウェーデンが最も高い97.9%で、フランス70.6%、イギリス70.3%と続いている。

 スウェーデンで「自国が子供を生み育てやすい国だと思う理由」として最も多く回答されていたのが「育児休業中の所得補償が充実しているから」で86.9%。続いて「教育費の支援、軽減があるから」が79.6%、「各種の保育サービスが充実しているから」が72.4%だった。日本は「地域の治安がいいから」を除いたほとんどの回答で他国より割合が低く、特に「子育ての経済的負担が少ないから」(6.6%)、「育児休業中の所得補償が充実しているから」(8.3%)、「雇用が安定しているから」(13.1%)、「フレックスやパートタイムなど、柔軟な働き方ができるから」(13.1%)など経済的な不安に関係するものは、ほぼすべての国で最低だ。

 「子供を生み育てやすい国」でもっとも「そう思う」と答えた割合が高かったスウェーデンで「自国が子供を生み育てやすい国だと思う理由」とされているのが経済的なものばかりであった一方、「子供を生み育てやすい国」でもっとも「そう思う」と答えた割合の低かった日本では、生み育てやすい理由として経済的な要因があげられることがもっとも低い。ここから考えられるのは、日本の子育てに関する喫緊の課題は、経済的な不安を取り除くことであり、子育てに関する社会保障を充実させていくことだろう。

 白書の中では、職場における取組や地域社会における取組などが例に挙げられ、最後に「今後も、子育てしやすい社会の実現に向けて、子供や子育てを大切にするという意識が社会全体で深く共有され、行政による支援の充実に加え、本特集で紹介した事例のような取組が一層広がっていくことが期待される」とまとめられていた。子供や子育てを大切にする意識が社会で共有されることは重要かもしれないが、意識が変わればそれだけで子育てが楽になるというわけではない。「子供を生み育てやすい国」の事例を参考に、国民の心構えや意識に訴えるのではない、具体的な政策を実行に移してほしい。

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