社会

シンガポール、その知られざる介護保険制度の“充実度”

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さらなる負担を国民に求め、来たるべき“超高齢化社会”に備える

 それでも、シンガポールの高齢化は年々深刻化している。同国のリー·シェンロン首相によると、人口約560万人のシンガポールで2000年に22万人だった65歳以上の高齢者は、2015年には44万人まで増えた。2030年にはその数は90万人になると予想されるという。

 リー首相は公式の場でことあるごとに、「シンガポールもやがては日本のような超高齢社会を迎える。今から心して準備しなければ、経済と国防(安全保障)に深刻な影響を及ぼしかねない」と警鐘を鳴らす。

 こうした状況を受け、ガン・キムヨン保健相はこの2018年5月27日、すべての国民に加入を義務づける新しい介護保険制度「ケアシールド・ライフ(CareShield Life)」を2020年に導入することを公表した。新制度では、これまで日本と同様40歳からだった介護保険料の支払い開始時期が、30歳からに引き下げられる。一方で保険料納付の期間は、現行の65歳までから67歳までに引き上げられる。そして、現行の「エルダーシールド」とのなによりの違いは、加入が義務化され、脱退は認められなくなる点だ。

 同保健相は、「シンガポールの社会保障ネットワークの根幹である長期ケアを維持するための重要な戦略である。これはまた、私たちが構築しようと切望する包括的社会の理念も反映する」と、新制度導入の意義を説いた。

 人口約1億2700万人で世界第3位の経済大国の日本と、人口約560万人台の都市国家シンガポールとは、国の規模も違えば、介護保険制度の中身も基本理念も著しく異なる。しかしシンガポールはより現実的に、国民にさらなる負担を強いても、やがてきたる高齢社会に備えようとしているようだ。

(文/ロボティア編集部

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