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DV加害者に被害者の住所を教えるミス頻発、DV被害の相談件数は年々増加

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Thinstock/Photo by Halfpoint

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 岐阜県関市は18日、夫からDV被害を受けて市外に転居した女性の住所が記載された書類を、誤って夫に発送していたと発表した。担当部署の話によると、情報の共有がなされていなかったことが原因という。同市は女性に謝罪し、転居費用の補償を負担し、慰謝料も支払うと申し出ている。

 同様の事件は愛媛県松前町でも起こっていた。今年2月、関市のケースと同様、DV被害から逃れるため町外に転居した被害者と子供の住所が記載された書類を、加害者の元配偶者に誤って郵送した。また、長崎県東彼杵町でも今年2月、住所を秘密にするよう行政に届け出てがあったにもかかわらず、職員が元夫からDV被害を受けていた県外在住の女性の住所を、別の役場の職員を名乗る人物に誤って伝えてしまったことが報告されている。

 行政の誤った情報管理が原因で、最も悲惨な結末を迎えてしまったのが「逗子ストーカー殺人事件」だ。逗子市在住の女性が2011年、元交際男性から度重なるストーカー被害を県警に訴え、逗子市に元交際男性に住所が知られないよう情報制限の申請をした。しかし、県警が脅迫の容疑で元交際男性を逮捕する際、当時の逗子職員が女性の住所の一部を口にしてしまう。そのことがキッカケとなりストーカーは女性の住所を突き止め、殺害に及んだ。

 こうした事例から、行政への不信感を募らせる市民もいるだろう。しかし警察庁の発表によると、2017年に警察に寄せられたDVの相談件数は前年比3.6%増の72455件。DV被害の相談件数の増加に、行政の対応が追いついていない現状があるだろう。

 ひとくちにDV、家庭内暴力といっても、一律の対応ではまかなえず、個々の事例ごとに適切な対応をとらなければならない複雑さも、現場を混乱させている節があるかもしれない。DV被害を訴える82.8%は女性だが男性被害者も増えている。男性からのDV被害相談件数は2013年は3281件だったが、2017年には12440件と4年間で約4倍に急増。被害の相談件数の増加には、DVという概念が世間に浸透してきたことで、男女問わず被害者が声を上げやすくなったことが関係しているのだろうか。

 かつては家庭内での暴力を痴話喧嘩などと捉え深刻に取り合わない空気もあったが、時代は変わっている。児童虐待も同様だろう。DVや虐待は命にかかわることもある重大な問題であり、誰もが暴力を受けず平穏に暮らす権利がある。相談件数増加という現実を直視し支援体制を整えることは、行政や警察にとって喫緊の課題のひとつだ。

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