大阪地震でも拡散されたデマ。震災に乗じて在日差別を垂れ流す人々にダマされないで。

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Thinstock/Photo by Kagenmi

 今月18日に大阪府北部で発生したマグニチュード6の地震。19日午前に新たに66歳の男性が自宅で亡くなっているのがみつかり、死者は5名となった。負傷者も400名を超え、現在も1500人名以上が避難しているところだ。地震発生当初から懸念されていた余震は減少しつつあるものの、今後も大きな揺れが発生する可能性が指摘されている。

 さらに梅雨前線の北上に伴い、大雨に見舞われている地域もある。地震の影響により地盤が緩み、土砂災害が発生する恐れもあるため、一部地域では避難指示や避難勧告も出ている状況にある。

 震災発生時ほぼ確実に起きるのがデマ・流言のたぐいだ。今回も例に漏れず、ツイッターなどSNSでお決まりのデマ・流言が多数みられた。例えば地震発生直後に「京阪脱線」というデマが含まれたツイートが投稿され、リツイートによって拡散。その他にも「シマウマが脱走した」など様々なデマ・流言が確認された。

 2016年の熊本震災の際、路上にライオンがたっている写真とともに「おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが熊本」とツイートした男性が、偽計業務妨害の疑いで逮捕されている。これは、災害時にインターネット上にデマを書き込んだとして逮捕された全国初の例だ。悪意を持ったデマ・流言の投稿や、不確定情報を拡散する行為は、何らかの罪に問われる可能性を持つのである。

 また、デマ・流言の中には差別を助長させるものも多い。典型的なのが「在日外国人による窃盗・強盗」というツイートだ。「在日外国人」は多くの場合、在日コリアンや中国人が名指される。

 2016年に発生した熊本地震の際にも「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といったツイートが多数投稿され大変な問題となっていた。2011年の東日本大震災でも同じように、災害に乗じてヘイトを煽る投稿が多々みられ、そして繰り返し繰り返しリツイートされていた。さらに歴史をさかのぼれば、関東大震災の際に行われた朝鮮人の虐殺を例に挙げられる。

 いずれにせよこれはデマ・流言であった。しかしこれらを投稿した者も、そして悪意があろうがなかろうが、拡散した者も、何らかの処罰や注意を受けることはない。

 デマや流言が拡散される背景には、差別意識といった悪意によるものだけでなく、現地の人々を心配しているからこそ行われる、善意による拡散という側面もある。「まだこの情報を知らない人がいるかもしれない」「本当かわからないけど、念のため拡散しておいたほうがいいかも」「公式のアナウンスの前に伝えたい」……だが、これらが実際の状況と違う情報だった場合、むしろ現地の人々の迷惑に、時には命にかかわる重大な問題にもなりかねない。

 大阪市は災害発生後「SNSでは実際に起こっていない事故など、事実と異なる情報が発信・拡散されています。情報の発信元にはご注意いただき信頼できる情報かどうか、十分に確認をしてください。また、未確認の情報をむやみに拡散しないでください」と注意喚起。法務省人権擁護局も「災害発生時には,インターネット上に,差別や偏見をあおる意図で虚偽の情報が投稿されている可能性もあり得ますので,その真偽をよく確かめてから冷静に行動しましょう」とツイートしている。

 震災の多い国だからこそ、防災だけでなく、震災発生後の対応についても私たちは学習をしなければならない。そして震災に乗じて、現地の人々を案ずるよりも、特定の国や民族を貶めることにいそしみ、デマ・流言をSNSなどに投稿する人々にダマされるようなことはあってはならない。

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