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嵐やミスチルが賛同する“公式サービス”は機能せず…チケット転売市場はいまどうなっているのか?

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春の日本武道館(Thinstock/Photo by Michiaki Omori/amanaimagesRF)

SNSで活況を呈す転売市場

 さて、こうしてチケット転売の場がどんどん少なくなっていくなか、昔ながらのダフ屋はどうなっているのだろうか。

「かつてはコンサート会場の周辺に『チケットあるよ~』などとつぶやくダフ屋がウロウロしていましたが、警察による取り締まりが強化されたこともあり、現在ではあまり見かけなくなりましたね。しかし、日本武道館のような大きな会場では今でもたまにダフ屋が出ていますよ。ちなみに、ダフ屋が出るのは入場時の本人認証がない公演で、さらにチケットが余っている公演。転売業者がさばききれなかったチケットを会場近くで売っているというパターンが多いです。価格は多少交渉の余地もあるのですが、たとえばダフ屋が“定価だよ”と言っていれば、定価プラス1000円くらいを要求されることも多い。開演後になるとかなり安くなることもありますが」(前出・音楽ライター)

 また、転売サービスではなく、個人間でのやり取りが増えていると感じる者も少なくないだろう。30代のアイドルファンはこう話す。

「SNS上で、『チケット譲ります』『チケット探しています』とつぶやく人は確実に増えている印象ですね。以前なら余ったチケットをヤフオクやチケットキャンプで売って小遣い稼ぎをしていたような人も、転売の違法性を認識するようになったのかもしれません。私の周りでは、Twitterのフォロワー同士でチケットをやり取りするケースが多いように思います」

 まったく知らない相手とSNSを介してチケットのやり取りをすることには抵抗があっても、フォロワーであればむしろ安心、ということなのかもしれない。

 こうして見てみると、チケットキャンプの閉鎖とヤフオクのルール改正、そして音楽業界による転売反対の啓蒙活動の効果もあり、市場に出回る転売目的のチケットは減少傾向にあるようだ。出回るチケットが少ないため、ファンクラブやプレイガイドでの“チケット争奪戦”に敗れてしまったファンが、あとからお金を積んでチケットを入手するということが、以前に比べ難しくなっている。その結果、「定価より安くチケットが売られているから、“クソ席”でもいいから試しにこのアーティストのライブに行ってみよう」といった“お試しライブ観戦”が容易ではなくなり、どんな遠方席でも、プレイガイドで公演の何カ月も前にチケットを確保しておかなければならないという、ある意味“正しい”状況が訪れているのである。

 そもそもそれが当たり前だといえばその通りなのだが、転売業者を当てにしていたファンが多かったのもまた事実。徐々にとはいえ転売業者の締め出しには成功しているとはいえ、営利目的の転売を本当に撲滅するには、音楽ファンに対するさらなる意識改革も必要だといえそうだ。

(文/青野ヒロミ)

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