東京都の屋内禁煙進む、8割が「喫煙場所の減少」を支持

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Thinkstock/Photo by PK6289

 従業員を雇う飲食店を原則として屋内禁煙にする東京都の受動喫煙防止条例が27日、都議会定例会本会議で賛成多数で可決・成立した。2020年東京オリンピック・パラリンピック前の平成324月から全面的に施行されるとのことだ。

 現在、国会で審議されている「健康増進法改正案」では客席面積が100平方メートル以下で個人などが営む既存の飲食店では喫煙可能としているが、都条例は店の大きさに関係なく従業員を雇っている飲食店は原則全面禁煙と、より厳しい規制を設けた。飲食のできない仕切られた喫煙専用室を設置すれば問題なく、その際の費用は都が9割補助してくれる。だが、喫煙専用室を設置するスペースが確保できない店舗は少なくなく、飲食店経営者の悲痛な叫びも聞こえる。

 ただ、飲食店経営者の気持ちとは裏腹に、今回の条例が成立したことを喜んでいる人は多そうだ。株式会社マクロミルが今年発表した調査によると、「喫煙場所の減少」に非喫煙者の87%が賛成と回答している。厚生労働省が2016年に発表した非喫煙者の割合が約80%であることを考慮すると、今回成立した条例への賛同者は多数派と見ていいだろう。

 日本よりも喫煙規制が進んでいる国は多くあり、日本はこれまで「タバコ規制後進国」と揶揄されてきた。アメリカ・ニューヨークでは2003年に飲食店が完全禁煙。2011年からは約1700の公園や海岸など、公共の屋外スペースでの喫煙が禁止となった。フランス政府は昨年、2020年までにタバコ1箱を現在の4割増の10ユーロ(約1300円)に値上げすることを発表。日本のタバコは1500円に満たない程度の値段なので、2倍以上になる。

 日本でも世界標準と足並みを揃えるべく、急速な分煙・禁煙化が進む。プログラミングの講義などを提供する株式会社divは今年4月、喫煙者を採用しないと発表。代表取締役の真子就有氏は会社内のブログで「他の企業の社長からも『うちも不採用にします!』とメッセージをもらえたので何かしら良い影響を与えられたんじゃないかと思っています」(http://makonari.com/?p=294)と記述。今後、喫煙者かどうかで、就職の選択肢が狭まるケースは増えていきそうだ。

 奈良県生駒市では今年4月、職員に喫煙後45分間はエレベーターの使用を禁止するという受動喫煙対策を施行。産業医科大学の大和浩教授の研究結果に基づいた対策で、科学的裏付けは取れている。

 「タバコは百害あって一利なし」と言われるように、身体に悪影響を与えることは様々な研究で証明されている。非喫煙者が、他者の喫煙による不当な健康被害から逃れられるよう様々な施策を講じることは有効であり、正しいだろう。一方で、そうしたルールが喫煙者を“迫害”するような過激な規制や極論になっていないかは常に検証していく必要がある。マナーをわきまえてさえいれば、喫煙はひとつの選択肢であり権利。喫煙者も非喫煙者も、お互いが過ごしやすい環境を獲得できるような議論を重ねたうえでのルール整備が必要だ。

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