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シニア層を狙いスターを囲い込む「夢グループ」の手堅いビジネス 通販CMもクセになる!

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西城秀樹公式サイトより

 この5月に63歳で他界した西城秀樹にとって生涯最後のステージとなったのは、4月14日に栃木県足利市で開催された「同窓会コンサート」という公演だった。

 これは、1960~70年代に活躍したアイドルやミュージシャンたちが多数出演する“フェス形式”のコンサートで、以前より全国各地で開催されている(2018年6月末現在では、今後の予定は未発表)。

 出演者は会場ごとに違うが、常連メンバーとして名を連ねていたのは西城秀樹のほかに、尾藤イサオ(74)、あおい輝彦(70)、タケカワユキヒデ(65)、あいざき進也(61)、小川知子(69)、今陽子(66)、辺見マリ(67)、あべ静江(66)、伊藤咲子(60)、リリーズといった面々だ。

 この「同窓会コンサート」を主催するのは、東京都文京区に本社のある「株式会社夢グループ 」(以下、夢グループ)である。同社は、通販会社の経営者・石田重廣氏が、往年の兄弟デュオ「狩人」のマネジメントを行うために2003年に立ち上げた会社で、当初の社名は「有限会社あずさ2号」という、あまりに狩人すぎるものだった。その後、現在の社名に改称し、もともとの本業である通販事業と芸能ビジネスを二本柱とする異色の企業として発展を遂げてきた。ちなみに当初から経営していた通販会社のほうも、「ユーコー」の名称でグループ会社として存続している。

 芸能部門では、狩人のほかに小林旭(79)、黒沢年雄(74)、三善英史(63)、チェリッシュらのマネジメントを行い、レコードレーベルも運営。そして「同窓会コンサート」以外にも、複数のスターが一堂に会する形式のコンサートを何パターンも開いており、それこそが夢グループの真骨頂といえる。

 今年の上半期は、小林旭、水前寺清子(72)、伊東ゆかり(71)、三善英史、松村和子(56)らが出演の「夢コンサート」(全13会場)、ビリー・バンバン、加橋かつみ(70/元タイガース)、チェリッシュ、平浩二(69)、葛城ユキ(69)、ロザンナ(68)、おりも政夫(65/元フォーリーブス)、狩人、桑江知子(58)、石井明美(52)らの「夢のスター歌謡祭」(全17会場)、黒沢年雄、山本リンダ(67)、新沼謙治(62)、平浩二、チェリッシュら、あるいは、江木俊夫(66/元フォーリーブス)、晃(57 /元フィンガー5)、高道(58/狩人)、あいざき進也らが出演の「夢 歌謡祭」(全19会場)、細川たかし(68)と長山洋子(50)の「ふたりのビッグショー」(全16会場)を開催。

 下半期は今のところ、上半期のメンバーから一部が抜け、代わりに大物・橋幸夫(75)が加わる「夢のスター歌謡祭」、そして上記メンバーの大半が揃う「夢 スター歌謡祭 春組対秋組」のスケジュールが発表されている。さらに、森昌子、小林幸子、香西かおりといったビッグネームの単独公演も主催しているのだ。

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「夢コンサート」紹介サイトより

小規模タウンで“1日2都市公演”の強行軍

 これらのラインナップからもわかるように、夢グループ主催のコンサートの主要ターゲットはシニア層であり、それは通販ビジネスの顧客層とも重なっている。老舗レコード会社関係者はこう語る。

「夢グループ主催公演のもうひとつの大きな特徴は、全国津々浦々を巡ることです。2018年後半の『夢のスター歌謡祭』は特にすごい。なにしろ、“1日2都市公演”という前例のないスタイルで、人口10万人に満たない町を次々に回るのですから。公演回数の多さで知られるさだまさしでさえ、あそこまで細かいツアースケジュールは組まないですよ」

 たとえば8月31日は、昼公演を茨城県の常陸大宮市(人口約4万人)で開催、夜公演はそこからクルマで1時間弱(高速道路利用の場合)の石岡市(人口約7万人)で行うという強行軍だ。9月には、この1日2都市公演形式を中心に、実に24会場での開催が予定されている。

「小規模な自治体に住む高齢者にとっては、地元のホールに往年のスターが大挙してやってくるというのは魅力的でしょう。1枚のチケットで多数のスターを見られて、懐かしいヒット曲をあれこれ生で聴ける。しかもグッズ売り場では彼らスターを相手に、アイドル現場における“接触イベント”のようなお楽しみもある。高齢化社会の今、これはなかなか強力なコンテンツだといえます」(前出のレコード会社関係者)

スターの“安定収入”が見込める、夢グループのコンサート

 全国ツアーが可能なのは、日本各地に高いニーズがあるからなのだろう。では、逆に往年のスターの側は、なぜこの夢グループのステージに集まってくるのだろうか? その背景には、ベテラン歌手側の労働環境の変化があるようだ。

「昔の歌手は、キャバレーやスナック、デパートの屋上、イベント会場などでの、いわゆる“営業”でガッツリ稼いでいた訳です。ところが、世の中の移ろいによってそうした場が激減していきました。かといって、この時代に単独公演で全国ツアーができる歌手はごく一握りにすぎません。その点、夢グループの公演は歌手が動員の心配をせずに済み、レギュラーになれば1回のギャラは安くても年間の定期収入は見込める。しかも、会場でグッズ販売もできる。ヒット曲を歌えば喜ばれ、スポットライトの中心に立てる。今の芸能界において夢グループは、往年の大物俳優らが勢ぞろいした帯ドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)のような存在ともいえるんですよ」(実話誌記者)

  ただし、これが西城秀樹の場合は、いささか事情が違ったのだという。

「ライバルの郷ひろみは、今でも単独で全国ツアーを精力的に回っています。秀樹も、健康状態を維持していればある程度の規模は維持できたでしょう。ところが、2016年の『FNS歌謡祭』(フジテレビ系)に出演した際にも話題になりましたが、晩年の秀樹は満足に歌うことができず、ステージでは口パクが多かった。そうしたコンディションの問題で、2時半の単独公演をこなすことはなかなか難しかったわけですが、数曲を歌うだけの『同窓会コンサート』であれば、なんとかステージに立つことができたのでしょう」(前出の記者)

 いずれにせよ夢グループは、スターたちが高齢になってもなお輝く舞台を提供し続けている、ということになろう。

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ミゾロギ・ダイスケ

ライター・編集者・昭和文化研究家/映画・アイドルなど芸能全般、スポーツ、時事ネタ、事件などを守備範囲とする。今日の事象から、過去の関連した事象を遡り分析することが多い。著書に『未解決事件の昭和史』(双葉社)など。

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