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保育士不足問題、「給与上乗せ」「家賃補助」で大幅改善の事例

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Thinstock/Photo by TAGSTOCK1

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 保育士不足のため、子供の受け入れを減らしている認可保育園が、全国24自治体で204園もあることが朝日新聞の調査で判明した。

 厚生労働省が2014年に発表した「不足している保育士」は約7.4万人だったが、2017年に発表した「平成29年度末までに国全体として新たに確保が必要となる保育人材数」では約9万人。わずか3年間で約1.5万人も上昇し、保育士不足は改善されることなく、年々悪化している。

 「平成25年度の保育士の新規求人倍率」では、群馬県、山梨県、鹿児島県を除いた都道府県で倍率が1.0を上回っており、特に東京都では4.63倍にものぼっていた。「保育士不足は東京都だけの問題」と捉えられがちであるが、東京都だけが深刻な状況というわけではない。昨年10月の時点で、東京都の保育士の有効求人倍率は5.99倍とさらに上昇しているが、大阪府も3.89倍、埼玉県は4.28倍。全国平均で2.76倍と、保育現場の人手不足は顕著だ。

 また、前出の厚労省調査では、保育士資格を有するハローワーク求職者を対象に、保育士職種への就業を希望するかどうかの調査も行っており、「希望する」と回答した人は51.5%と約半数。保育士の資格を有していても、保育士として働くことを望まない理由は、「賃金が希望と合わない」(47.5%)が最も多く、「休暇が少ない・休暇がとりにくい」(37.0%)、「子育てとの両立がむずかしい」(14.9%)など、労働環境への不満が多く挙げられていた。

明石市や柏市の取り組み

 保育士不足が叫ばれる中、保育士の労働環境を整備し、保育士不足・待機児童を解消するため奔走している自治体もある。

 兵庫県明石市では、市内で働く保育士に対して「新規採用で最大30万円を支給」「家賃の負担を月額最大8.2万円軽減」「子供を保育所に優先的に入所する」など、働きやすい環境を整備。さらに同市では、中学生までの医療費や第二子以降の保育料、市営施設の子供の利用料などを全て所得制限なく無料化し、子育て家庭が住みやすい街づくりも目指している。

 これらの取り組みの結果、2012年に29万人割れ寸前まで減った市の人口は、2013年から増加に転じ、20178月には、過去最高の295557人を記録。子育てしやすい街づくりが、街の活性化につながることを証明した。

 また、千葉県柏市では、今年で4年連続の待機児童ゼロを達成。同市では、「正規雇用の保育士・保育教諭に対して1人あたり月額4.3万円の給与の上乗せ補助」や「事業者が借り上げた宿舎に保育士を入居させる場合は1人あたり月額8.2万円の家賃補助」など、手厚いサポートを実施している。これらの取り組みが、待機児童ゼロを継続できている要因なのかもしれない。

 こうした地方自治体の工夫に学べば、賃金上昇など労働環境の改善により、現在は保育の現場を離れている保育士を呼び戻すことも可能であることがわかる。保育士が働きやすい環境が、ひいては子育てしやすい環境につながっていくだろう。

宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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