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「BBCは反日!」BBCの伊藤詩織氏ドキュメンタリーを受け日本国内で起こった残念すぎる反応

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BBC Two『Japan’s Secret Shame』番組HPより

 628日に、BBCの英国向けテレビチャンネルBBC Twoにて放送された、ジャーナリスト・山口敬之氏からの準強姦被害を訴えている伊藤詩織氏を取り上げたドキュメンタリー『Japan’s Secret Shame』。この番組については先日Wezzyでも記事にしているが(リンク)、その放送内容をめぐって、主にネット右翼層を中心に炎上が続いている。

 『Japan’s Secret Shame』ではまず、伊藤氏が主張している準強姦被害について紹介。そのなかでは、山口氏が安倍首相の自伝本を書くなど、首相に近しい人物であったことを説明したうえで、突然の逮捕取りやめにこの関係性が影響を与えている可能性を示唆するなどしていた。

 また、『Japan’s Secret Shame』は、伊藤氏の体験も踏まえつつ、日本における性暴力被害者への無理解と、被害者へのケアを施す制度の不備を扱った。

 たとえば、伊藤氏は、都内唯一の性暴力被害者の支援センターを訪問したが、そこでは人員不足のため担当者が2名体制で動いており(かつては1人体制の時もあったと証言される)、また、暴行直後に法医学的証拠を残すためのレイプキットもその施設にはなく、特定の病院に行かなくてはならないといった状況が説明された。

 伊藤氏の著書『Black Box』(文藝春秋)には、支援を行うNPOに「どこの病院に行けばきちんとした検査ができるのかの情報を教えてほしい」といった内容の電話をしたところ、「面接に来てもらえますか?」と言われ、直接話を聞いてからでないと情報提供はできないと拒否されてしまったくだりが出てくるが、番組ではスタッフが当時の対応を謝りつつ、そういった対応になってしまったのも人員不足による弊害(当時は1人体制だった)なのだと説明されていた。

 また、被害者へのケアが行き届かないのは警察も同じだ。伊藤氏は、警察に被害を訴えた際、34人の男性捜査員の目の前で等身大の人形を相手に性行為の再現をさせられ、さらに、それを写真に撮られるといった体験をしたとも番組で語っている。これも、女性警察官の人員不足によるものが大きいという。

 早急に被害者の目線に立った支援や捜査のシステムを整え、被害者が報告しやすい環境を整えていく必要性を痛感させられる番組内容であったが、『Japan’s Secret Shame』放送後に日本国内で起きた声は、そのようなものではなかった。インターネット上には「BBCは反日」という投稿が溢れたのだ。

BBCの反日ぶりは、特に際立っている。反日ネタは視聴率がとれるらしい>

BBCが反日組織だと言うことは日本に広まりました!! だから鬼畜米英と言われたのに恥を知らないって困ったもんだね>

 英国放送協会に「反日」もなにもないのは言うまでもなく、苦笑せずにはいられない投稿だが、もうひとつ目立ったのが、「枕営業」などといった文言で伊藤氏を叩くセカンドレイプの表現である。

<何がミートゥーだよ、ただの反日オンナじゃん。BBCに今回番組してもらう為に、どんな営業したか、そっちを聞きたい>

<もしかすると伊藤詩織は山口に仕事を世話してもらおうと夜遅くまで大酒飲んで付き合ったのは枕営業の魂胆もあったのではないか。それに失敗したので3日後に突然強姦で訴えた。普通の強姦事件なら女性はすぐその晩に警察に駆け込み、病院で相手の体液も、睡眠薬飲まされたら血液採集する>

<秘められた恥…知ってる知ってる! 伊藤なんとかっていう枕営業失敗したから、セクハラとか騒いでるけど、極一部以外には相手にされない売女のことでしょ?>

 『Japan’s Secret Shame』では、こういったセカンドレイプも問題視していたのにも関わらず、同じことがまた起きていたのである。

 また、番組内では、山口氏を擁護する立場として自由民主党・杉田水脈衆議院議員がインタビューに応えているが、そこで杉田議員は、「レイプされた彼女にも責任がある」との意見を表明した。

<彼女の場合は明らかに女としても落ち度がありますよね。男性の前でそれだけ飲んで、記憶をなくしてっていうようなかたちで><社会に出てきて女性として働いているのであれば、それは嫌な人からも声をかけられますし、それをきっちり断ったりとかするのも、それもスキルのうちですし>

 BBC Twoの放送を受けて杉田議員は、番組制作サイドから受けていた企画と放送されていた企画がまったく違うとブログで主張しているが、どのような意図の発言であれ、<明らかに女としても落ち度がありますよね>といった発言が、セカンドレイプの文脈で捉えられるのは自然だろう。

 つまり、『Japans Secret Shame』に対する日本国内の反応が、『Japans Secret Shame』の内容を補強するという、皮肉な結果となっていたのである。

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