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日本はアジアで最も働きたくない国? 外国人就労者の受け入れ方針転換も…

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Thinstock/Photo by DAJ

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 74日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、マツコ・デラックスと有吉弘行が外国人就労者の働きぶりに感心していることを語った。番組中、「外国人のアルバイトに対して冷たい態度をとる人ってなんなのでしょうか?」という投稿が寄せられ、有吉弘行は「味わいがあって面白い」とコメント。マツコ・デラックスも「いいよね。一昔前の田舎から出てきたおぼこい人を見ているかのような感覚が今の外国の人」と言い、外国人店員の接客が拙いことがあっても有吉とマツコは目くじらを立てることはないようだ。

 有吉弘行は続けて「外国人だろうが日本人だろうが、態度が悪いやつは腹が立つ」とし、マツコ・デラックスも「こういう人(=アルバイトに冷たい態度をとる人)って、外国人に対してだけじゃなくない?」と、店員に平気で横柄な態度をとる人は、国籍問わず誰に対してもそうであると口々に語った。彼らとしては、外国人就労者の働きぶりに感心することこそあれ、差別的な態度をとるなど考えられないというスタンスだった。また、態度の悪い店員に対して腹が立つのは当然であり、同時に、店員に横柄な振る舞いをする客はよろしくないとの論調。ごく常識的な反応といえるだろう。

 しかし、日本が外国人労働者にとって魅力的な国かといえば、そうではなさそうだ。少子高齢化の進行により、日本国内の労働者人口は減少し続けており、今後も増える見込みはない。人手不足を補うべく、海外人材の受け入れについてはたびたび議論の俎上にのせられてきた。だが、受け入れ態勢が十分に整備されているとは言いがたく、外国人技能実習制度を利用した事実上の就労においては受け入れ側が制度を悪用するケースも表面化している。

 日本屈指の高原レタスの生産地として知られる長野県川上村では、外国人技能実習制度を利用し、800名以上の外国人実習生を受け入れていたが、中国人実習生の告発により、一部の農家で罰金制度や異常な長時間労働と低賃金、農家からの暴力があったことなどが明らかにされ、問題となった。

 厚生労働省は昨年、2016年に外国人技能実習生を受け入れた企業を視察し、視察した5672社のうち4004社で労働基準関係法令違反があったと報告。その中には、違法な時間外労働を課したり、給与を支払わなかったりなど悪質な企業もあったという。

 外国人観光客は年々増加しているが、こうした実態が改善されなければ、海外人材による人手不足解消も難しいだろう。スイスのビジネススクールのIMD(国際経営開発研究所)が昨年、世界の高度技能者を対象に実施した調査によると、日本はアジア圏で「最も働きたくない国」に選出されている。世界63カ国の中でも51位と、非常に低い結果になった。

 これまで日本では外国人就労者の受け入れについて専門的・技術分野における海外人材のみに限定していたが、6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」(骨太方針)では、大きく舵を切った。受け入れ業種の幅を広げ、また新たな在留資格の創設や、在留外国人への支援と在留・雇用管理についての指針を示したのである。それだけ国内の人手不足は深刻だ。

 番組内で、有吉弘行は「自分が外国でスーパーとかコンビニでバイトできるかって思ったらできないもん」と賞賛の言葉を口にしていたが、そう簡単な話ではないのである。

宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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