アメリカ独立記念日と、移民の市民権宣誓式〜毎日2,000人が“アメリカ人”に!

文=堂本かおる
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今年の独立記念日におこなわれたアリゾナ州での市民権取得者の宣誓式。43カ国からの231人が新たに「アメリカ人」となった。移民局のツイッターアカウント@USCISより

 アメリカ合衆国は今年も7月4日に独立記念日を迎えた。1776年に国として独立し、今年で242歳となった。千年を優に超える長い歴史を持つ欧州やアジアの諸国に比べると、驚くほど若い国だ。

 それもあり、独立記念日の祝い方もいたってカジュアル。家族親戚や友人が集まり、庭や公園でBBQを楽しむ人が多い。その際、アメリカの国旗である星条旗の柄のTシャツを着たり、星条旗柄のテーブルクロスやプラスチックの食器を揃えるなどして、愛国心をカラフルに表す人もいる。夜には全米各地で盛大な花火大会が催され、アメリカの”誕生日”を締めくくる。

 そんな中、一生に一度の特別な独立記念日を過ごす人たちがいる。何年も前に他国から移民としてアメリカにやってきて、晴れて市民権を取得した人たちが、市民権取得のセレモニー、宣誓式をおこなうのだ。

 アメリカでは毎年70万人〜75万人程度の移民が米国市民権を取得し、アメリカ人(アメリカ国籍者)となる。日本では帰化と呼ばれる法的手続きだ。単純に日割り計算すると、毎日2,000人が新たにアメリカ人となっていることになる。人数の多さゆえに宣誓式は全米各地で毎日のように行われている。市民権取得を申請して審査に合格した人に対し、USCIS(日本での通称:移民局)から居住地付近での宣誓式の日時通知がどんどんと発送されている。

 この75万人の中の、ごく少数のラッキーな人たちは7月4日の宣誓式に参加することとなる。独立記念日は連邦の祝日(日本の国民の祝日に相当)であり、行政機関もクローズするが、宣誓式は開催される。アメリカがイギリスの植民地から抜け出し、アメリカという独立国家となった記念すべき日に、新たにアメリカ市民となった人たちを、国をあげて祝うためだ。

 新米国市民は会場で市民権証を受け取る。壇上に立つ判事を前に、片手を上げて「忠誠の誓い」を読む。これにより正式に「移民」から「アメリカ人」になったこととなる。判事がお祝いのスピーチをおこなう。皆、感動で胸がいっぱいになる。家族同伴で参加した人たちは妻や夫、子供たちを抱きしめる。セレモニー後のインタビューでは「嬉しい」「やっと市民になれた」「この国が大好きで、リスペクトしています」といったセリフが飛び出す。

 時には判事自身も元移民、もしくは“移民の子”であり、アメリカが移民によって作られる国であることを象徴する現場に立ち会ったことに感銘を受け、言葉に詰まることすらある。

 宣誓式で新市民に配られる封筒には米国パスポートの取得方法、選挙人登録の方法に加え、米国市民としての権利と義務が記されたパンフレットが封入されている。そこには未成年の子供がいる場合は子供も自動的に市民権を得られること(*)、親族に米国永住権を取得させることができる(**)ことも記されている。

(*)(**)いずれも資格条件があるが、ここでは詳細は省く

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