『健康で文化的な最低限度の生活』は、偏見にまみれた生活保護への誤解を解きほぐす

【この記事のキーワード】

 『健康で文化的な最低限度の生活』には、他にもさまざまな生活保護受給家庭が出てくる。たとえば、早期の自立を急ぐあまり、精神疾患(元夫からのDVによるうつ病とPTSD)を抱えたまま再就職してしまい、自殺未遂にまで発展する女性のケース。そのような行動にいたってしまったのは、彼女の心のなかに「生活保護を受けるのは恥。自分はそんな人間ではない」という後ろめたさがあるからで、これもまた、「税金が怠け者の食い扶持にされている」といった世間からの偏見が、生活保護の正しい運用の阻害要因となっているひとつの例である。

 『健康で文化的な最低限度の生活』は、物語を通して生活保護に関する無知や偏見をほぐしていく。『健康で文化的な最低限度の生活』の物語に触れる前と触れた後では、生活保護に対するイメージがかなり変わってくるだろうし、生活保護の議論には必ずついて回る「自己責任論」がいかに誤った考えであるかも理解できるようになるはずだ。

 こういった作品がテレビドラマとして放送され、多くの人に届くのは非常に意義のあることだ。これを機に、偏見と無知に由来する生活保護バッシングが減ることに期待したい。

(倉野尾 実)

1 2

「『健康で文化的な最低限度の生活』は、偏見にまみれた生活保護への誤解を解きほぐす」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。