マレーシアにも“森・加計”問題 ロスマ夫人と安倍昭恵 国を傾かせた“首相夫人”の共通項

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2017年5月、ロスマ夫人と安倍昭恵首相夫人との会談を報じる外務省の公式サイト

 今年5月のマレーシア下院議員選挙で大敗し、政権の座を追われたマレーシアのナジブ・ラザク前首相が7月3日、政府系ファンド「1マレーシア・デベロップメント・ブルハド」(以下、1MDB)の資金を不正に流用した疑いで逮捕された。政権明け渡しからまだ2カ月。事態のあまりの急展開とナジブ氏の急転落は、平家物語の冒頭にある一節「おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし」のくだりをも思い出させる。

 1957年の英国からの独立以来61年にわたり、マレーシアは最大与党「統一マレー国民組織」(UMNO)を軸にした与党連合による超安定政権が国を運営し続けてきた。 今回、92歳で再び首相に返り咲いたマハティール首相も、この超安定政権の枠組みのなかで、22年にわたりマレーシアを統治してきた経験を持つ。

 ナジブ氏もマハティール氏も、かつては共にUMNOの幹部として、同じ釜の飯を食ってきた仲間。ナジブ氏が政権の座を追われたことで、これを、“落としどころ”とするのだろうと思われた。いわば、金持ちケンカせずというわけだ。しかしマハティール氏は、終始一貫してナジブ氏の汚職を追及し続け、ついに今回の逮捕につながった。

 ナジブ氏を輩出したラザク家は、「マレーシアのケネディ家」とも称される名門中の名門。第2代首相で「マレーシア発展の父」と呼ばれたアブドゥル・ラザクがナジブ氏の父親で、第3代首相フセイン・オンは叔父に当たる。さらにさかのぼれば、ナジブ氏の母方の祖父は、マレーシアに最初にできたカジノで財を成し、UMNOの誕生を資金面で支えた人物である。

 翻って我が日本の安倍晋三首相も、母方の祖父が岸信介元首相、大叔父が佐藤栄作元首相で実父が安倍晋太郎元幹事長と、そうそうたる政治家を輩出した政治家一家出身であり、その点ではナジブ氏に似ていなくもない。しかし、日本の大学でも学んだことのある、ある親日家のマレーシア人は、「共に、ファースト・レディの妻の言動に振り回されている点でも、非常に似通っていますね」と、苦笑気味に語るのだ。

 学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐる一連の騒動は現在進行中の問題であり、安倍昭恵夫人の関わりがあったか否かの論評は、ここでは控えよう。しかし昨年来、「忖度」という言葉が日本中を駆けめぐり、この首相夫人が日本社会に少なくはないインパクトを与えてきたのは紛れもない事実だろう。しかし、彼の地マレーシアの元首相夫人、ナジブ氏の妻であるロスマ・マンソール氏の暴走ぶりは次元が違う。

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