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『コード・ブルー』が魅力的なコンテンツになった最大の理由は、医者が神ではなかったことにある

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『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』公式webサイトより

『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』公式webサイトより

 ドクターヘリの現場で奮闘する医療従事者たちの姿を描いたドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ(フジテレビ系)の新作がついに公開される。『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』は727日より公開予定だ。これまでに3作の連続ドラマと1本のスペシャルドラマを放送してきた『コード・ブルー』シリーズ、振り返れば木曜劇場枠で1st seasonが放送された2008年の夏からちょうど10年が経とうとしている。

 『コード・ブルー』シリーズは、社会的にも影響力の大きい作品である。1st seasonの放送開始前までは、「救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」(ドクターヘリ特別措置法)が公布されて間もない時期とあって、「ドクターヘリ」という言葉はほとんど一般に知られていなかった。しかし高い視聴率を獲得したドラマ『コード・ブルー』の放送によって周知が進んだことは確かだろう。2007年時点では全国合わせても14機しかなかったドクターヘリが、2017年には50機に増え、全国的に配備されるまでとなった。『コード・ブルー』をきっかけに、フライトドクターやフライトナースの道を志した者もいるという。

 今から10年前の2008年、木曜劇場“木10”枠にて放送された1st seasonでは、フェロープログラム(専門研修制度)を受けるため、救命救急センターに赴任した4人のフライトドクター候補生・藍沢(山下智久)・白石(新垣結衣)・緋山(戸田恵梨香)・藤川(浅利陽介)と、優秀なフライトナースの冴島(比嘉愛未)の現場での奮闘と葛藤、成長模様が描かれた。

 神の如き天才医師が登場するタイプの医療ドラマとは違い、『コード・ブルー』に登場する医師および研修医たちは、利己的、感情的、臆病、だらしがないなどの欠点を持つ人間らしい人間であり、時に格好悪かったりもする。しかし、医師を超人化・神聖化せず、血の通ったひとりの人間として描く点こそが、このドラマの最大の魅力だった。

 現役の医療従事者からは「リアル」と評され、また医療に従事していない視聴者が「共感」することも可能で、1st seasonは平均視聴率15.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と好評を博し、2009年には新春spが放送された。

 2010年、“月9”枠で放送された2nd seasonでは、フェロープログラムの終了を間近に控えた藍沢たちの卒業がテーマに。過酷な救命医療現場のリアルに加え、クールで野心家の藍沢が家族のことで苦悩したり、器用で優しいが臆病だった白石が父と対立したりと、ひとりひとりの内面的な成長も丁寧に描かれ、平均視聴率は16.6%に上昇。視聴者たちは、“卒業”した彼らの今後の人生に思いを馳せたことだろう。

 2008年から2010年にかけて、役柄よりさらに若かったキャスト陣の役者としての成長も見どころだった。戸田恵梨香は19歳、新垣結衣は20歳の若さで、医大を修了した役柄。しかし彼女たちの若さはそのまま、役柄の頼りなさや未熟さを表すのに適していたのだと思う。これが現実的な24歳前後の彼ら彼女らだったら、どうだったか? そう思えば、10年前にこのキャストを集結させた制作陣の英断を讃える以外にない。また、『コード・ブルー』以前はナイーブで繊細な役を経験してきた山下智久が、本作では無骨で寡黙、しかもタフな青年に扮したことも、彼自身の評価を高めることにつながっただろう。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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