ただし、独身や子なしの友人とだってどう頑張っても独身時代と同じような付き合い方はできないから、彼女(彼)らに不自由を強いてしまうことは避けられない。気軽に外出はできないし、するとしたら1カ月以上前に自分の母親に保育園の迎えを頼まなきゃならないから、遊ぶ相手にも前々から予定を組んでもらう必要がある。それでも友人たちは私に合わせて休みを取ってくれたり、なるべく私の家に近い場所まで足を運んでくれたりと、関係を維持することに協力的になってくれていて、本当に有り難い限り。
中には、産後間もない頃に「そろそろ野球のナイター行こう。赤ちゃんいっぱいいるし大丈夫」とメールが来たり、連日息子の夜泣きがピークの頃に「終電なくなったから泊めて。家飲みしよう」などと到底無理な誘いを受けたこともあって、返答に困った。子育て経験がなければそれが「ムリ」だとわからないことだってあるし、決して悪気があったわけじゃないと思う。私が昔、野球が好きだったから誘ってくれたんだろうし、産後しばらくは専業主婦だったから「夜中に家飲み」が負担ではないと確信していたのかもしれない。どういう場面でも極力「子供が……」という断り方はしたくなかった私だが、この時はさすがに伝えざるを得なかった。
でも、子供ができた途端に誘いを断るようになり別世界の人と思われてしまいたくなかったし、かと言ってまた同じような誘いをもらっても対応に困る。「半年後なら落ち着いてるから」と期限付きの断りを入れても、その時になって本当に応じられるかわからない。こういう時はどうコミュニケーションを取るのがベストなのか未だにわからない。
「子供」が絡むと非常にややこしい
母親同志で集まって、ひたすら子供の話や家のこと、夫のことを語り合ったり愚痴ったりし合う関係って、私にはしんどい。
毎日の子育てが大変(褒めてもらえるわけじゃないし)なだけに、同じ苦労を現在進行形で乗り越えてる同志、関わって親しくするのが一番居心地が良いと感じる人もたくさんいる。一方で私のように、「Tくん(息子)のママ」と呼ばれる生活の中で、「私」という単体を見てくれる人物(子育てとは現在無関係の友人)と親しくするのが最大の息抜きになると感じる人もいる。
だから、独身や子なしの人が母親である友人を誘った際「そんなにヒマじゃない!」みたいな不本意な返答をしてくる場合もあるかもしれないし、かといって「出産した」の一報から気を使って距離を置き始めれば、私のようなタイプの人間は傷つく。気軽に誘うべきか距離を取ってあげるべきか……なんて、そんなの判別しようがない。
逆に、今後も変わりなく付き合いたいと思う母親側も独身の友人や子なしの友人へのアプローチには結構気を使うもの。こちらの時間的制約などに合わせてもらうことが負担にならないかどうか、などどうしても考えて躊躇ってしまう。どういう形であれ双方がWIN-WINになれば良いけど、本当は互いに引き続き親しくしていたかったのに双方で気を使って疎遠になってしまった友人関係もきっとあちこちにあるんじゃないだろうか。
子供が居る人・居ない人、誰にでも(どんな場面でも)言えることだが、人格や人となりではなく「母親かどうか」という点のみで様々な不都合が生じ、それによって相手との関係性を維持するか否かの判断基準になってしまうのは何だかとっても勿体ない気がする。
ところで冒頭で紹介したEは、今後どうするんだろう……と思う。グループの友人たちは複数人で全員母親。彼女たちは、Eとの関係性をどう継続したら良いか……と個人個人で悩んでいるだろうか? そもそもEが悩んでることだって知らない可能性もある。束になっていればそれだけ見失うことも多いのではないか。
でも、もしもEがいつか母親になった場合、同じ母親同志で付き合うのがラク!と思ったなら、このグループは憂鬱どころかオアシスのような場所になるだろう。